12_海上要塞、曰く付き ページ15
｢無事に愛媛に着いたんだな、それで?
彼らは秘密裏に襲撃されたと｣
愛媛に着くと、私たちは1回コンビニに止まって休憩をとった。
その時かかってきた携帯に繋がった大学の固定電話から、そんなことが言われた。
『今アリスも愛媛に居るんだな？』
「ああ、必ずあいつらは来るよ」
そんなことを電話で話し終えて、瞳子さんと古株さん以外誰もいないキャラバンの中、私は彼女へと歩み寄った。
彼女に聞くと、送られてきたメールには不自然なことがとても多かったらしい。
「…………響木の名を騙って送られたメール？」
「ええ……とてもじゃないけど本人からではないでしょう」
「そうだろうな、だが愛媛に何かあるのは事実だと思うぞ」
「？」
「……うちの特別諜報員、首席と末席が反旗を翻した」
「……！？」
「あいつらは、次席の私に接触してくるだろうよ。
部下が2人愛媛に居るんだ、それをわかってるはずだから彼らは必ずここに来る」
影山が介入する余地もある、彼らに得はないからあんまりなんとも言えないが。
「勝機は？」
多少思案する、末席の彼女は戦えないのだが、万が一もある、それを含めると。
「2対1は正直難しいな、……いや、勿論やるさ、捕らえるか死ぬかだけだ」
「……」
そんな顔しないでくれよ、と私は目を瞑る。
「貴方は、そんな物騒な世界で今まで生きてきたの？」
「勿論、そうじゃないと私は生きていけなかった」
当たり前のように笑顔で返した、彼女はそれを驚愕した目で見ていた。
窓の向こうに目を逸らすと、見覚えのあるキャラバンの人達と、特徴的な髪型の彼が1人。
「……彼かな、今回のお客さんは」
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2020年9月17日 21時
