失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ36)

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side貴方

「……成程？」

と、内容を報告されたのは二分前。

「日本からアメリカ支部へ依頼か」

そりゃあアメリカに居る彼等には荷が重いだろう。

『はい……』

アランが弱弱しく答える。

「気にするな、それに相手方の住所は何気に近い様だし」

公園付近をうろうろしながら携帯に呟く。

依頼人はキラヒトミコ、依頼内容は護衛と協力……？

「協力ってのは？」

アランがどもる、内心首を傾けていると、携帯からはハンスの声がした。

『明かしたくないそうだ、まあ確かにAourはFBIよりも後ろ暗い所は在るとはいえ、健全な組織なのは事実だから、』

「要相談、か」

随分前にFBIを例示してAourとの優劣を述べたが、勿論まだある。

FBIは個人で依頼を受けないのに対し、Aourは受ける。

民間の探偵と大体同じだが、一応秘密組織扱いにはなっているので受けるのは大体各国の重鎮の内容だったり、警察のヘルプだったりする。

だからこそ、こういった事例の案件は珍しいこと極まりなかったのだ。

しかもそれが国境を越えるとさらにややこしくなるのはどの組織も一緒。

『……お、依頼人の素性が出たぞ。

吉良瞳子、吉良財閥の娘さんだ』

「何？」

『成程、Aourへの依頼記録もある、こりゃ下手なブラフやトラップじゃねェだろうよ』

本人か、しかし何故彼女は財閥の娘であることを隠して依頼したのだろうか、間違いなくそれを言った方が確実だろうに。

真逆、財閥の当主と対立でもしているのか？

「吉良財閥と言えば隕石の話、あったろう」

『あー、それはジャックの方が詳しいぜ』

「いや、話の詳細は分かる、過去の報告書と周辺の記録だけこちらに送ってくれとジャックに伝えてくれ」

あと住所。

お前の溜まりに溜まった報告書を手伝ってやるから、と言うと彼は上機嫌に了解、と答えた。