episode59 ページ13
お風呂に入りながら考える。
どうして櫻野には私の声が聞こえたんだろう。
チャプン
湯船に潜り思考を働かせる。
プハッ！
息が続かなくなり勢いよく顔を上げたと同時にある１つの可能性が浮かぶ。
「アリスだ！きっとテレパシーを使ったんだ。」
テレパシーは自分から誰かに発信することしかできないと思っていたけど、受信もできるとしたら今回のことも納得がいく。
声が聞こえた理由が分かり、スッキリした気持ちでお風呂から上がり髪を乾かす。
寝る前に本当にテレパシーは受信もできるのか確かめてみようと思い、試しに呼びかけてみる。
どうせなら面と向かっては言いにくいことを言ってやろう！
「櫻野のばーか。お見舞いなんてくる暇あるなら仕事しろー！」
無理して体調壊しても知らないからね！
しかしいくら待っても返答はない。
あれ？やっぱりテレパシーは発信することしかできないのかな？
諦めて眠りにつこうとしたその時
(ーうるさい。病人なんだから人の心配しないで自分の心配をして！早く寝るんだよ。ー)
頭の中に響く櫻野の声。
やっぱりテレパシーのアリスだ。
「アリスってすごいねー。離れてるのに近くにいるみたい。心が繋がってる感じがして、なんだか安心する。」
私は生まれた時からアリスで物心つく前から学園にいて、当たり前にアリスが使えるからアリスがない世界なんて考えられなくて、アリスのスゴさなんて分からなかったけど今ならわかる。
制御されてるだけとは言えアリスが使えなくなって初めて知ったアリスのスゴさ。
アリスってすごい。アリスで良かった。
今本当にそう思う。
それからクスクスと笑い声が聞こえたかと思うと、おやすみと言われ何も聞こえなくなった。
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作者名：莉桜 | 作成日時：2018年2月5日 20時
