ゝ・弐 ページ26
結論から先に言うと二級だけなんてもんではなかった。三級から一級までよりどりみどりのバーゲンセールだ。
なんでこんなに群れてんだと半ばキレながら呪霊を祓いまくって進んでいると、ふとその部屋から異様な空気を感じ取る。
もう灯らない「手術室」のランプが目立つ。私はナナミンに断って中に入り、その原因を探る。
そして程なくしてそれを発見するのだった。古びて錆びかけたトレイの中に無造作に置かれた細長いそれ。
赤黒い色の、禍々しい呪力を発するそれ。実物を見るのは初めてだが、それが何かは容易に分かった。
両面宿儺の指だ。
見つけてしまったからには持ち帰って上に提出せねばならない。原作開始後であれば悟とかに流すつもりだったが、今悟にこれを渡しても「は?なんで俺だよ」と言われてしまうのがオチだ。
私は指を引っ掴んだ。うっっわ、濃ッ!んでもって重ッ!こりゃ長いこと食べてると胃もたれ起こすな。
私は顔を顰めながらそれをとりあえず袂に入れて、外で待っててもらったナナミンと合流すべく手術室を出た。
出たら満身創痍のナナミンがお出迎えしてくれた。
いやなんで〜〜???
スペキャ顔になってしまうのも無理はないと思う。
いやよう見たら呪霊おるが〜〜!?しかも二級とかそこらではないな。一級か?
ナナミンに向かって振りかぶられた腕を見て、思考を一時中断する。ぐい、とナナミンを自分の方に引き寄せて、半回転するようにして私が前に出る。
ざくり、と私の腕を掻き切る爪。熱い血がじわりと着物の袖を汚す。ああ、でも。
「!」
「延延回帰、番之八」
思ってたより、全く痛くない。
「──『齋穿』」
不定形だった呪力がその形を固め、瞬きのうち幾つもの刃の形をとる。水色の刃はそして一斉に、その特級の身体を刺し貫いた。
体感およそ0.5秒ほどの出来事だった。ただ、あまりにも手応えがない。眉を顰め砂埃を払うと、奴はそこにはいなかった。
ち、逃げたか。まあ院内にはいるだろう。
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ニノ崎(プロフ) - めっちゃ面白いです,,,好みドストライクです!これからも応援しております。後,伍話目の美美美ー美・美ー美美ってまさか某マルハーゲ帝国()のパロですか() (2021年3月2日 18時) (レス) id: 159ece0998 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - みもなるーと。さん» 丁寧なご感想たいへん嬉しいです、ありがとうございます!燕は扇一の自立に必要な犠牲だったのでちょっと……ね……これから扇一夢主、ガンガン男前に磨きがかかって参りますので何卒お楽しみ頂ければ幸いです! (2021年2月26日 19時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
みもなるーと。(プロフ) - なんだかクソデカ感情を向けてしまった(?)夢主に恋してしまうかと思ってしまいましたね… 最近は天候が崩れやすいのでお体に気をつけて無理せず頑張ったくださいチュチュ… (2021年2月26日 17時) (レス) id: d641c5035a (このIDを非表示/違反報告)
みもなるーと。(プロフ) - な、なんだこの小説は今まで生きてきた私へのご褒美かご褒美なのか。夢主のどこか達観した想像力などに惹かれました。燕さん私の推しだったのに食べちゃいましたね…やはり愛とは、呪いなのかしらと再認識できた気がします。素晴らしい小説をありがとうございます。 (2021年2月26日 17時) (レス) id: d641c5035a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - 43yomi1さん» ありがとうございます〜〜!!!更新頑張ります!! (2021年2月26日 16時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
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