呪霊食べる系幼女に転生しちまったんだが【呪術廻戦】

ゝ･伍 ページ29

「いましたね」
「いたねえ」


呪霊くんは実にすぐに見つかった。なんにせよ特級(推定)なので呪力の反応がとんでもなくでけえのだ。


相手も見つかって諦めたのかすっかり臨戦態勢だ。まあ、来ると分かってりゃ怖いもんでもなし。どのみち、攻撃される前にやっつけてしまえばオールオーケーだ。


「君が捌くか私が焼くか」
「サポートをお願いできるなら私が」
「ん」


会話内容がもう祓魔っていうか狩りのそれである。


ひゅん、と鉈を軽く振ったナナミンに合わせて、逃げられないよう呪霊を紮げる。


「延延回帰、番之七『据』」


呪力が今度は強固な柵を織り上げていく。それは実に一瞬で呪霊の頭と手足を地面に縫いつけた。


さながらガリバー旅行記である。小人二人がこんなにゴリラだと巨人もたまったもんではなかろうが。


「私の術式は対象の長さを線分した7:3の比率の点に強制的に弱点を作り出す術式です。
全長のみではなく、頭部や腕など部分までを対象として指定することが可能です」


お、術式開示。私はにっこりと笑った。


「いいね。綺麗な刺身にしてくれよ」
「……板前みたいに言わないで頂けますか」


ナナミンの不満げな声も右から左だ。呪霊の手足は実に綺麗に7:3に分割され、切れ落ちてどちゃりと床に血溜まりを作る。


私はすかさずその呪霊の顔にぺたりと手を添えて、舌なめずりをする。


例えるならば老舗旅館の湯豆腐だ。あっさりしていて、ふわふわ、とろけるような舌触り。ナナミンが冷ましてくれた(というふうに解釈して)それを、私は食べる。


触れた先から溶け落ちていく。じゅわりじゅわりと床に落ちた呪霊の残骸は、やがて蒸発したように消えていく。


「ご馳走様でした」


にしてもなかなかいい術式を得た。これから先、任務の帰還が楽になりそうだ。

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