春日狂想 ページ42
リリアンは、一緒にアメリカに帰ろうと行ってくれた。けれど私は断った。リリアンはただでさえ忙しいから、一緒に住んだとしてもきっと、これまでとあまり変わらないだろうと踏んだのだった。
それに、行けない理由がある。
「日本にね、友達がいるの。宇宙一大好きな友達が、沢山いるんだ」
私は彼らを置いていけない。いや無論原作的な意味合いもあるにはあるが、それよりもただシンプルに、私は彼らが好きなのだ。
生きている他の誰かが、こんなにも大切に思えるようになるのだと知った。
リリアンは少し寂しそうに笑って、それでも頷いてくれた。毎日の通話時間をもっと長くしてくれるなら、なんて可愛い交換条件を寄越して。
さて、そして件の友達だが、やはりめちゃくちゃ心配されてしまった。
電話口で大樹と杠に泣かれ、半ば動転した龍水には急に家に押しかけられあれこれ世話を焼かれた(主に物品的な意味で)。千空は大丈夫か、と一言無愛想な返信を寄越してくれていた。
彼なりの心配なんだろう。不器用な奴だからなあ。
けれど私は存外元気で、そりゃ時折寂しくなる時はあるけれど、リリアンも友達もいるのだからと思えば割と立ち直れた。
世界にひとりになったような気分でいたのが、そうではないとわかってある程度和らいだのだろうと思う。
というわけで。
「なんで君ら私より凹んでんのよ。お通夜か」
「だってご両親いっぺんにだぞ、急だったし！」
「そうだよ、びっくりしたんだよ！」
「あﾞー、こいつらはまあ大袈裟だが、それにしてもお前落ち着きすぎじゃねぇか？」
翌日、土曜日、実家にて。どうせ元々マンションにほぼ一人暮らし状態だったし、特に勝手も変わっちゃいない。
急な来客もなくはなかったので(龍水はよく来るしたまに千空が夕飯たかりに来る)、今日突然来た三人のもてなしくらいは余裕だ。
なお出迎えの時にボウル片手にエプロンしてたのはスコーンを作ってる最中だったからです。そういうとこが落ち着いてるって言われてるわけですね。
そんなこんなで私より沈んでいる大樹･杠、半ば呆れ顔の千空をダイニングに通し、紅茶を出した。スコーンは多分三十分くらいで焼けるはずだ。
冬の長門峡→←Death walks faster than the wind and never returns what he has taken.
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ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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