オタク、空を見る ページ38
かくしてロケットは打ち上げられた。白く不規則な煙を上げて、高い高い空へと昇っていって──……そして、爆ぜた。
「超上空で吹っ飛んだ」
千空がノーパソを見ながら言った。私はそれを一瞥して、空を見上げる。
飛行機雲の終着点が、紅茶に注いだ瞬間のミルクのような不定形をして、緩やかにその輪郭を崩していくのが見える。ここから見ると本当に点みたいなもんだが、目を凝らせば何とかそれが確認できた。
「またダメかー！」
大樹が頭を抱える。ううん、何が駄目なんだろうなあ。サーにでもメールして質問してみようか。……あ、いや、千空はそもそもサーにロケット作り教わってたんだっけ。じゃあそれも徒労に終わりそうだ。
駄目だなあ、流石にこう何年も経つと、原作の内容を忘れ始めてしまう。メモしておくべきだな。
……あ、でも三千年経ったらそれも無駄になるのか。
まあでも、少なくとも、大筋だけでもさらっておくべきだな。
石化中は原作の総ざらいと……医学知識の反芻かな。忘れたくないことを、ずっと考えていよう。そのあと硝酸で私が起きられれば儲けものだ。
などと未来に思いを馳せていると、「ククク、そうでもねえ」と千空の声。現実に引き戻された思考を、ちょっとだけ回して私は千空のパソコンを覗き込んだ。
「おお、一枚受信してんね」
そこには、漂う編みぐるみの映像が映し出されていた。千空と、大樹と、杠と、私。遥か下に大気圏を映して、太陽を背にしたそれらを、私は見た。
成功だ、と漠然と思った。宇宙は、思ってたより近いのかもしれないな、などと。
おおお、と歓声を上げる大樹、目を輝かせる杠。やってやった、とでも言うような顔した千空。
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ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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