色恋に興味のないオタク ページ37
「そういや桐」
前を向いたまま、千空は私の名前を呼んだ。大樹と杠は、二人で談笑していてこちらを意識していない。私は少し首を傾げて、「なあに」と返した。
「お前彼氏とかいたんだな」
「……うん？」
「メスゴリラだとばっかり思ってたが存外お前も人間──」
「いや何彼氏って」
失礼な物言いにはもう慣れたし、我々の業界では半ばご褒美なので無視するとして、聞き捨てならんことがある。
彼……？彼氏？なにそれちょっとよく分からない。いるの私、彼氏？いないよ。だよな。
「あﾞ？いただろ文化祭ん時、知らねえ奴と」
その一言でめちゃくちゃ全部が解決した。
文化祭の時に一緒にいた、千空の知らない男。いやもう十中八九羽京兄ちゃんだ。
そうか兄ちゃん童顔だから、高校生くらいに見えなくもないのか……！
「千空違う、アレ従兄弟」
「は？」
「そもそも兄ちゃんは二十歳行ってるのでね、私に手を出すとシンプルに犯罪なんだよな」
顔が童顔だから何も言われなかったけど、そういやよく考えたら二十代と中一の逢い引きは普通に倫理的にアレだ。
従兄弟じゃなかったら──ついでに羽京兄ちゃんが童顔じゃなけりゃお縄だっただろう。国家公務員なのにね羽京兄ちゃん。血縁あってよかったね。
「へえ、……お前みたいな奴でも家族の前じゃあんな顔すんだな」
「私みたいな奴とは？貶されてるか今？」
「ククク、貶してねぇよ。褒めてもねぇがな」
なんだってんだこいつは。顔が良くなけりゃしばき回してたぞ。
むん、と思わず顔を顰めれば、千空はけらけらと笑って私の頬を摘んだ。なんだ私を不細工にして楽しいか。楽しかろうな笑ってるもんな。君が楽しいならもういいよ私は。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Dr.STONE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
