利己主義のオタク ページ19
部活の方にのめり込んで、別クラスなのも相まってか千空達との絡みが薄くなってきた。悩みどころだ。とはいえ今度のロケット発射式にはお呼ばれしているので、仲良しだと思われている感じで良さそうだ。
プライベートジェットの中でギターをジャカジャカやりながら、そんなことを考える。
フランスに向かう道中である。どっから聞いたのか(多分私のお母さんだ)私が軽音部に入部したと聞きつけた龍水が、出会うなりしっかりしたギターケースを押し付けてきて一言「これをやろう！飛行機の中で貴様の歌が聴きたい」などと言ってきた。とんでもねえやつである。
しかもギブソンの三十万くらいするやつをポンと出してきた。本当にとんでもねえやつである。
しかし突っ返したとて龍水はギターを弾かないのだし、と受け取ってしまった。こいつ多分私のこと分かってきてるな。良心に訴えかけやがって。
「桐、カクテルはどうだ」
「ええ、いいの？私まだ子供だよ」
「ふ、とてもそうは見えんな」
ラフにシャツを着て、長い足をスラックスに収めた龍水が、流れるように私の手を取って機内のバーカウンターへと連れて行く。同じくらいの高さにあった頭も、今では随分上にある。時の流れって怖い。
というかそう見えないってどういうことよ。中身は確かにもう三十路くらいの勢いだけれども、顔はそんなに老けてないぞ。美少女だからな、なんてったって。
「心配しなくても、ノンアルコールしか出さんぞ。未成年の、しかも女に酒を強要するなどありえんからな」
「君のそういう所は素直に偉いと思う」
私がそう言うと龍水は「当たり前だろう？」と言って、私を見て僅かに目を細める。……なんだかなあ。隠そうともせず、こうも愛おしげに見つめられては毒気が抜かれてしまうというか。絆されそうになっていけない。
やめとけ龍水、マジで私は君につり合わないし、私はモブと平凡な結婚をしたいんだ。
それはそれとして推しの成長は見守りたいから近くをウロウロはするけどな！
あとフランスは普通に行きたい。滅多に行けるところじゃない。モンサンミッシェルでオムレツ食べたいしルーヴルでサモトラケのニケ見たい。
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ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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