自己肯定感の低いオタク ページ16
さて。スーツは無事完成した。千空が「テメーも開発者なんだから立ち会え」と言うので、私もスーツの実証現場に行くこととなった。プールサイドの匂いがする。
「おお千空、お前女の子の友達もいたのか！」
「メスゴリラだ」
「どうもメスゴリラの鯨吉桐です。千空くんとは仲良くさせていただいてます」
世界広しと言えども、メスゴリラをこんなにナチュラルに肯定する女児がほかにいるだろうか。いや、いない。
千空をいなめようとしていた百夜さんですら「また変な奴が来たな」みたいな目で私を見ている。照れちゃう。
「あー、……千空、そういうことを女の子に言うもんじゃねぇぞ？ちょっと変な子みたいだが女の子は女の子だ」
「うーんさり気ないdis」
「ククク、オンナノコが中学生三人蹴り飛ばして無傷で済むかよ」
「ハァン私が中坊に負けるわけがあるかハァン？」
「桐は強くて頭がいいからなー、普通では無いのは確かだな！」
大樹にそう言われるとなんも言えないんだよな……
こう、なんか、眩しさによって一回浄化されてしまうのでね。あっ大樹が言うんならそれでいーやぁ、ってなってしまうんだな……
普通じゃないってのも別に悪いことではないしね、うん、そう。ポジティブシンキング私。
「ところでこの怪しいスーツは……？」
百夜さんが困惑しつつもそう千空に問いかけたところ、容赦なしにプールに蹴り落とされた。ばしゃんと水が跳ねてくるのを避けながら、私は心の中で合掌した。私も大概ではありますが、貴方の息子はとんでもねえやつです百夜さん。
その直後、電気信号により勝手に動き始める手足。戸惑う百夜さんは、バッシャバッシャと騒がしい様子で、平泳ぎらしい動きをしながら遠ざかっていく。うんうん、配線良好反応良好。どうやら成功と見える。
「重畳重畳！成功だね、千空」
「ククク、だろうな。テメーは失敗しねぇからな、桐」
「うーんとんでもねえ買い被りだなあ」
遠ざかっていく百夜さんを眺めながら、私は千空の言葉を聞いて頭を掻いた。失敗しないわけじゃない。「桐」が失敗しにくい人間になっていっているだけだ。要領がよくて頭がいいから、次何をどうすればいいかが手に取るようにわかる。便利だが不便だと思う。あまりにも、人間味がないような気さえして。
そこまで考えて、目を瞑って押し戻す。そんなことを考えたって仕方ない。私はただ、私にできる事をやっているに過ぎないのだから。
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ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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