こんにちは、やさしい世界【HUNTER×HUNTER】

ドレスコードは初体験 ページ49

お喋りを終えた途端にキキョウさんにより更衣室へ引っ張りこまれた私は、ふわふわひらひらした絢爛豪華なドレスの数々に目を白黒させていた。開いた口が塞がらないとはまさにこの事だろう。


何故ってそのどれもが、素人の私ですらわかるくらいに高級だったからだ。生地にしろ装飾にしろ、全てにおいて高そうなドレスが所狭しと引っ掛けられている。


キキョウさんは楽しそうに鼻歌を歌いながらそれらを物色し、その中から一着ドレスを引っ張り出した。



「これなんかどうかしら。ちょっと着てみて下さる？」

「ホアッ」



変な声が出た。


＿＿私が着るのかよ！！！！


押し付けられたそれは目に鮮やかな青色をしていて、三段フリルの下に素材の違うスカートが重ねられている。つまりはふわふわでひらひらなのだ。


襟は胸元ギリギリまで四角く切り取られていて、袖は肘まではぴったりしているのだけれど、肘から袖口にかけてはふわりと緩やかに広がっていた。


キキョウさんが説明してくれることには、「Aラインのスカートに、スクエアカットの襟、パコダスリーブのドレスですのよ。主な生地はオーガンジーとチュールなのだけれど、胸元の装飾には最高級品のミカドシルクとパールを使っていて、ほら、パールなんかは袖口にも同じものがあしらわれているの。とってもエレガントでしょう？」とのことだった。


正直なんのこっちゃ分からないが、「へえー、素敵ですね！」と返しておいた。


返している間に着替えさせられ、しかも首やら頭やらに高そうな装飾品を追加された。



「あら、やっぱりとってもお似合いね！そちら一式差し上げるわ、是非お召しになって頂戴ね」

「ひえっこんな高そうなものいいんですか」

「勿論よ、さっ、着替えたことだしあの子達にお披露目に行きましょう！」

「ひえええこのまま行くんですかああ」



またまたキキョウさんに引っ張られながら更衣室を出ると、出待ちしていたのかキルアとイルミ、それからやたら恰幅のいい次男のミルキが立っていた。


出てきた瞬間のイルミの反応が怖かった。おっきいお目目をさらに大きくして凝視してきたからだ。イルミはきっと視線だけで人を殺せると思う。



「見て頂戴、可愛いでしょう？」

「似合うんじゃない？」

「あれがイル兄の嫁か…」

「待ってそこの君(ミルキ)、私嫁じゃない」

「いい嫁もらったなイル兄」

「でしょ」

「話聞いて！！？」



今日のまとめ。


ゾル家の人は割とみんな話聞かない。

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