銀盤にて踊るは蝶の如し【ユーリ!!! on ICE】

薄ら氷 ページ2

＿＿＿…指先まで、神経を張り巡らせるのを忘れるな。


油断するな。そして強張るな。柔らかく警戒しろ。


そうして、舞え。踊れ。


此処が「私の独壇場である」と、見せつける為に。


四回転トゥループも、トリプルアクセルも、どんなに難しい技も。


基本のステップから、何から、全てにかけて、丁寧に熟さなくてはならない。


…そうしなければ、銀盤の上で踊る意味が無い。


エッジが氷の上を滑る。

滑らかに、美しく。

指先が天を向く。

そうして、ゆっくり、背を反らす。


全てのカメラのレンズ、全ての注目、全てのライト。

それらも私を構成する一部に過ぎない。恐れることはない。それは全て私の力に成りうるものなのだから。


曲の盛り上がりに併せて、私は跳んだ。


あ。


良い、感じ。


着地まで、綺麗にできた時。

上手くいった時程、素晴らしく世界が輝いて見える。


そこにはどんな大会もどんな賞も関係無い。


只、私の満足感と高揚感と達成感があるのみ。


それで、良い。


それが、良い。


私はその為に踊るのだ。


歓声を身体中に浴びながら、私はそう、笑うのだ。



「＿＿＿＿…Спасибо！」



輝く世界に向けて。

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