十一話…side 白布 ページ13
幼馴染みの、澪佳。
笑顔が可愛くて、髪もサラサラふわふわしてて、それから、と、いいところをあげていくときりが無い。
俺だけの澪佳だと、小さい頃から漠然と思っていた。
俺の笑顔。俺の声。俺だけ、皆が知らない澪佳を知ってる。
それだけで十分、優越感に浸れた。
でもある時からそうじゃないことが分かってくる。
皆の為の笑顔。皆の為の声。皆の為の澪佳。
多分これは初めての嫉妬だった。
元から俺の物じゃなかったのに、取られたような気になって。
今日だってそう。牛島さんに笑いかける澪佳に、どうしようもなく、遣る瀬無くなって、それでドジ踏んで足を捻った。
白布なんて呼んで欲しくない。
前みたいに名前で呼んで。
なんて、高望みだろうか。その方がいいっていったのは嫉妬にかられたこの口なのに。
…カッコ悪い。
マネージャーに足の怪我を指摘されてテーピングを巻かれ、氷嚢を当てられている間も俺はずっと澪佳を見ている。
カメラを構える彼女のきれいな横顔。
「凄いね澪佳ちゃん。怪我まで見抜いちゃうなんてさ。マネージャーやらない?」
…怪我まで、見抜いちゃうなんて。
驚いた。胸が、心拍数が上がった。体の温度が少し上がった。
澪佳が、気付いた。俺の異変に。
俺を、見てた?
そう思うと、やけに苦しくなった。
マネージャーが居なくなる。澪佳、こっちを見て。澪佳。
「澪佳」
「えっ、何?白布」
違う。そうじゃない。そんな呼び方して欲しくない。
そんなことはいえなくて。
代わりに、口から飛び出したのは。
「…俺のこと見ててくれたの?」
…って、何言ってんだ俺…っ!?
顔を押さえて項垂れる。
あー、なんだこれ、自意識過剰じゃないか…
すると、澪佳はいつもの優しい声で言った。
「見てるよ」
全部が一気に熱くなる。
見てる。今も?
顔を上げると、その瞳と目が合った。
微笑んでいる。綺麗な、笑顔。
「だから、私が見てないとこで無理はしないで。見てないと気づいてあげられないでしょ」
「…そういう意味だったんだ」
「うん、でも白布限定。お兄ちゃんはいつでも見れるから」
そういう事を言わないでくれ、心臓に悪い。
かっこよかったよ、なんて、その笑顔で言わないで。
ああ、やっぱり俺は、狂いそうなほど澪佳が好きだ。
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ぱるさん(プロフ) - 色城さん» そうなんですけどご都合主義で中学から一緒になっています。ご指摘ありがとうございます (2016年5月9日 8時) (レス) id: e13f4485fb (このIDを非表示/違反報告)
色城(プロフ) - 白布って中学違うところでしたよね? (2016年5月8日 22時) (レス) id: eb327b469a (このIDを非表示/違反報告)
あげ丸 - ヤバイ白布くんかわいいんですけど。しかし主人公ちゃんも、あのウシワカ殿の妹だからイイ感じのロリちゃんだったのでしょうな((キリッ 可愛さが素晴らしいですこれからも頑張ってください (2016年3月19日 18時) (レス) id: 78721561f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - 幸村さん» 白布ちゃん可愛いでしょうそうでしょう、これからも可愛くしていくつもりです (2016年1月10日 22時) (レス) id: e13f4485fb (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - yuri*さん» 夢主ちゃんにはデレッデレです白布くん。これからも砂糖を吐かさせて頂きます。お覚悟。 (2016年1月10日 22時) (レス) id: e13f4485fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱる | 作成日時:2015年8月10日 0時