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健「…え、？」
…そうやって、健はぽつりと呟いたっきり何も言わなかった。
だから、怖くて握られたままの手を見てた。
目を合わせてしまったら、健の後悔だとか、不安とか
そんな表情が見えてしまいそうで。
目を見る勇気が出なかった。
A「…ぁ、」
______健の手が、そっと離れた。
A「…、！」
健「ほんまにっ、言うてる…？」
ぎゅーっ、と力強く抱きしめられて、
少しだけ震えて、泣きそうな声が耳元でした。
…その先を聴きたくなくて、耳を塞ぎたかった。
健「………ほんっっまに嬉しい、、俺の子、俺らの子やんな…！」
いつもの騒がしい声とは真逆の小さな呟き。
噛み締めるみたいな、愛おしく思ってるみたいな、興奮を押し殺したみたいな、とにかく色んなものを乗せた暖かくて柔らかい声だった。
その声に、緊張しきってた身体と心が解れて
健の腕の中でぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
よかった、、健が、この子のこと否定しなくて…本当によかった、、
A「…っ、怖かった、っ、」
A「健に、っ、、拒否されたらどうしようって…私たちまだ若いし、っ、健が、嫌だった、ら…やめようって、別れようって、1人で育てようって…っ、思って…」
健「そんなんするわけないやん、」
A「…諦めようっ、て、ちょっとだけ、思っちゃったのも…っ、なんか苦しく、て……」
途切れ途切れの言葉を、優しく受け入れるように
健の大きな手が背中を撫でる。
健「不安にさせて、ほんまにごめん。俺のせいや。
俺がなんも言わんかったから、、やんな、、」
少しだけ、寂しそうな声でぽつり、と呟いた。
健「……A、聞いてや」
健「俺は…Aと、ずっと一緒におりたい。
…ずっと一緒におるのは、Aしかおらんって思っとる」
健に肩を優しく抱かれて、向かい合わせになった。
…見たことない真剣な目だった。
健「…A、俺と結婚してください。」
返事をするよりも先に、もう一度涙が頰を伝った。
A「絶対、っ、幸せにして、ね…！」
泣きながらぎこちなく微笑むと、
健も同じ顔してた。
健「当たり前…っ、や…ろ、」
子どもの頃に思い描いてた最上階の高級レストランでのプロポーズよりも、
幸せなプロポーズは私たちの1Kのアパートにありました______。
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作者名：こひな | 作成日時：2023年11月6日 2時
