検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:268,733 hit

103話 ページ33

紳士的な中也に最上階の横浜の街を一望できるレストランへエスコートされた。
人は最小限のウェイトレス以外誰もいない。私は恐る恐る中也に確認をとる。

「あのー、中也さん?まさかと思いますが…」

場の雰囲気に流されて自然と敬語になってしまう私に微笑みを返しながら

中「貸し切りました。ここは信用できる場所なんですけど、念には念を押すということで。これで何を話しても問題ないですよ。」

爽やかな笑顔でエグいこと言ってるよ!
マフィアの幹部ともなれば何でもそれぐらいしないといけないのか?
自己解釈をしてその場を収める。
洋風な丸いテーブルに中也と向かい合って座る。

テーブルナプキンを折り畳んでいると赤ワインが注がれた。
グラスの持ち手の部分を親指、中指、薬指の3本で持ち、人さし指と小指は添える。
そして、グラスを目の高さまで持ち上げて乾杯する。
重みが強く、コクがある赤ワインだった。
いかにも中也の好みそうな高そうなワインだ。
中也を見ると嬉しそうに飲んでいる。

料理が運ばれる迄この間話せなかった私が死んだことになっていた空白の時間について話を始めた。
話終わり乾いた喉を潤すようにワインを飲み干すと今度は中也の話が始まる。
治に悪戯されたときの愚痴が面白くて笑いが止まらなかった。

次々と運ばれてくる料理はどれも豪華で華やかなものだった。
おそらくフランス料理だろう。
見たことない料理が沢山出てきて新鮮だった。
食後の紅茶を啜っているとふとそういえばと思い立ったので聞いてみる。

「あの帽子、本当に使ってくれてるんだね。」

今は礼儀として外しているが成人祝いとして送った帽子が中也の頭に何時も乗っていた。
原作の中也が被っていた帽子っぽくて衝動買いしてしまったのだがまさか本当に使ってくれているとは。
そういうと中也はムッとした顔で口を尖らせた。

中「Aさんから頂いたものを使わないなんてあり得ないですよ。そんな風に見られてたなんて心外です。」

贈り物の時点で大切に扱っているけど、私があの時死んでしまったということもあり形見としても大切に扱っていたのだと。
少し表情が陰ったので罪悪感が…

「う、否、あの時の事は反省してるよ?まぁ、きっと同じことはしないと、思うよ?」

中「思うじゃなくてもうしないで下さいね?」

疑問系になる私に対して
笑顔が黒いよ中也さん…
私はひきつった笑顔であははと笑い目をそらした。

104話→←102話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (235 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
467人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治 , 中原中也
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。