歴代最年少幹部の姉になったのだが3

87話 ページ16

半刻程経って頭にコブができたアンシャルさんが意識を戻した。
涙目でコブをさすっていたアンシャルさんは咳払いをして真面目な顔つきに変わった。

ア「キシャルは今、牢獄の中に居る。」

「！」

あの後キシャルさんは天界に連れていかれ怪我の治療を受けた。
傷が癒えたので天界で所謂裁判を行い、今は牢獄の中で懲役を科されている。
歪みという人の欲望から生まれた存在に唆されたとはいえ重罪。
本来なら神としての権限は剥奪されるはずだったがアンシャルの説得によって、無期限の謹慎かつ監視下の元で幽閉されることとなった。
キシャルさんからの伝言は罪を償ったら会って謝罪をさせてほしいだそうだ。

「気長に待ってるよ。」

重い内容だがAさんは笑ってなんともない風に答えた。
きっとキシャルさんの兄であるアンシャルさんに気を遣ったのだろう。

「お互い優れた弟を持つと大変だねぇ。」

Aさんがカラカラと笑うと太宰さんが

太「優れた弟なんて照れるなぁ。」

太宰さんがくねくねと動いて喜びを体現している。
うわぁ…と思っていると

ア「そういえば近い内僕の上司の神様…天界ではNo.2の豊穣神、デメテル様が今回の功績を称えて褒美を何でも与えると仰っていたから失礼のないようにな！てか、同席する！」

失礼なこと言われたら困る！と息巻いているが

「デメテルさんならもう会ったよ？」

気品があるとは思ったけどそんなに偉い人だったんだねぇと染々呟いているAさんに対してアンシャルさんは驚愕のあまり声がでないようだ。
呆然とするアンシャルさんを放置して興味津々に太宰さんが聞き出した。

太「何を頼んだんだい？」

確かに興味ある。
神様からのご褒美なんて凄いものが貰えそうだ。
それに何でも叶えるだと。
僕なら何を頼むかな…規模が大きすぎて想像つかない。
Aさんは凄いことしていたのでその為の道具とかかな、何て思っていると

「本とゲーム。」

敦「へ？」

ア「はあぁああああ！！？おまっ…マジで！？」

予想外。
僕は間抜けな声を、アンシャルさんは驚きの声をあげる。乱歩さんは後ろで爆笑している。
僕達の反応にAさんはキョトンとした顔で

「え、そんなにおかしい？デメテルさんにも何度も確認されたんだよね…」

うーん…贅沢なお願いしたんだけどなぁ…とAさんは納得いかぬと首をかしげた。
確かに僕が神様だったらもっとお金とか特別な力とかあげようと思うなぁ。
Aさんは大物だ。

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