第18話 ページ20
「では、Aさん、行きましょうか」
『え？』
「オンボロ寮ですよ。あなたはそこの生徒になったのでしょう？僕がご案内します」
『……』
返事をするような気持ちの余裕はなかった。アズールさんの言葉に私は小さく頷く。
アズールさんは私の肯定を見届けると、入り口付近にいる2人の方へと足を向ける。
「ジェイド、フロイド」
「はい」
「なーにー？」
「あなたたちはどうしますか？」
「んー……面白そうだからついてく〜」
「僕も同行します」
「わかりました」
フロイドさんもジェイドさんもついてくるようだ。しかしアズールさんに気にする様子はなく、コツコツと音を鳴らしながら歩いていく。私がアズールさんの少し後ろを追いかけるように歩くと、その後ろからジェイドさんとフロイドさんがついてきた。
せっかちなのか足が長いからなのか、アズールさんは歩くのが早くて、私は少し息を切らせながら必死に追いかける。
それにしても、歩いているだけなのに後ろからの圧迫感がすごい。前を歩くアズールさんも背が高い。しかし、後ろにいる2人はアズールさんより更に高かった。一体何センチあるのだろうかと少し気になりチラリと後ろを振り向く。すると、偶然ジェイドさんと目が合った。ジェイドさんはおや、という顔をしたが、状況を理解したのか綺麗な笑顔でにっこりと笑う。
顔立ちの整った人はどんな表情も似合うなぁ……などと考えていると、ジェイドさんは前を歩くアズールさんに声をかけた。
「アズール」
「なんですか、ジェイド」
「もう少しゆっくり歩いたほうが良いかと。Aさんが大変そうですよ」
ジェイドさんの言葉にアズールさんが歩幅を狭める。
「それはすみません。貴方には早すぎましたか」
「ペンギンちゃんちっちぇーから足短いんじゃね？」
フロイドさんの言い方は少し複雑ではあるが……事実なので否定もできない。
素直故なのだろうけど、気持ちは穏やかでは無い。なんだか腹が立って反撃のつもりで、キッとフロイドさんを睨みつける。しかしフロイドさんには全然効果がなかった。寧ろ彼は嬉しそうにヘラリと笑い、
「なーに？ペンギンちゃん？遊んで欲しいの？」
と言ってきた。
『いえ、遠慮しておきます……』
「え〜？楽しいのにぃ」
この人にあやふやに言うと、自分にいいように解釈されてしまうと先程学んだので、きっぱりと断る。
「ねーペンギンちゃん」
『はい？』
「本当に雌なの？」
.
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小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» 台詞の中に違和感なく潜んでるのがいいですよね。そんな要素を探すのもツイステの楽しみですし、ツイステから入った方に、そういうささやかな楽しさを伝えていきたいです(o´艸`) (2020年8月9日 15時) (
レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 小崎相良さん» アリス、というかディズニー全般歌が多いから、余計に勘ぐってしまう…好きだなぁやっぱり (2020年8月9日 15時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» コメントありがとうございます。そうなんですよね！細かいところに原作の要素が散りばめられてて、気づくとあっ！ってなります。 (2020年8月9日 15時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 春の庭、春の庭…アリス、……ゴールデンアフタヌーンを入れ込んでたのか…さすが制作陣。拘るなぁ…とても好き (2020年8月9日 9時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - マチさん» コメントありがとうございます！お気に入りいただけてとても嬉しいです！不定期更新ではありますが、これからもよろしくお願いいたします。 (2020年7月28日 0時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年6月6日 10時
