Another:泉 ページ4
藤田の後を追って奥へと進む。
隠し扉は薄暗い部屋に続いていた。オレンジ色の淡い光が木製の壁や天井を照らしている。
「貴様ら！！！」
突然、藤田が声を張り上げて駆け出した。
藤田が動いたことで視界が開ける。
見えたのは３人の男、そして、服を脱がされて泣きじゃくるAの姿。
……その光景が衝撃的過ぎて、僕はすぐに動くことが出来なかった。
しかし、そうは言っていられない。緊急事態だと身体を無理やり動かす。
金縛りにかかったかのように硬直していた体は、一度動かすとするりと動いた。
藤田が男たちの相手をしている隙に、Aの元へと向かう。Aは柱に寄り添い、体を小さく丸めてカタカタと体を震わせていた。
よく見ると着物が乱れ、あちらこちらの肌があらわになっていた。袴など辛うじて引っかかっているような状態だ。腕は後ろ手に縛られていたし、両足にはそれぞれ鉄の枷が嵌められていた。
何があったのか、簡単に想像できる。身体を小さく丸めているのが防衛本能からだと気付き、思わず息を飲む。
「A？」
『……』
「ねえ、Aってば」
『……』
どんなに声をかけても視線すらこちらに向けない。その姿に不安を覚える。
「その手、不自由じゃないの？とりあえず縄を……」
『っ！やだっ！』
Aに向かって手を伸ばす。避けるように身体を動かすその足元で、ガチャガチャと鎖が音を立てた。
「A？」
『来ないで！』
「そんなこと言ったって……そのままにしておけないだろ？！」
そう言って僕は再度手を伸ばしてみるが反応は同じ。
『やめて！触らないで！やだ！やだ……お願い、お願いします……お願いします……』
ボソボソと小さな声で呪文のように唱え続けるその姿は、懇願しているかのようだった。手を伸ばしては叫ばれる、というやりとりを何度か繰り返す。
彼女は俺自身を拒絶しているのではなく、自らの身を守ろうとしているだけだと気付いた。それだけの仕打ちを “3人の男” にされたという事実に怒りがこみ上げる。
ふと、視線を藤田の方へと向けた。
2人の男が地面に伸びていて、最後の1人と対峙していた。本職なのだから流石というべきか、動きに無駄がない。任せておいて問題はないだろう。
今僕が考えるべきなのは、Aにどうやって安心してもらうかということ。
しかしどんなに考えても、僕が声をかけることは逆効果だし、彼女を余計に追い詰める結果しか見えなかった。
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小崎相良(プロフ) - Koma?さん» お返事遅くなりすみません！ありがとうございます！ (2022年1月22日 18時) (
レス) id: 6783c5a7bd (このIDを非表示/違反報告)
Koma?(プロフ) - ちょーぜつ面白いですね！最近めいこい見始めて最初に出会った作品がこれで良かったです！ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 二酸化酸素さん» ありがとうございます！嬉しいです！ (2021年7月21日 22時) (レス) id: b1e523f101 (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - 本当にゲームをしてるような気分になりました (2021年7月19日 1時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 鈴華さん» 楽しんでいただけたなら幸いです(o´艸`)！こちらこそ閲覧頂きまして、ありがとうございました！ (2020年8月4日 23時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年2月23日 10時
