第参話_八日目 ページ8
翌日。熱は下がったものの、ぶり返すといけないということで、休みを頂いてしまった。
1日、部屋の中でゆっくりと過ごす。
明治に来てから目まぐるしく動き回っていたせいか、いざ休むとなるとやることがない。
現代と違い、携帯も使えないし、テレビや漫画はない。音楽も聴けない。
その上、病み上がりで部屋から出て歩き回ることも禁止されている為、本当にやれることがない。
……暇だ。暇すぎる。
ぼんやりと部屋から外を眺め、道行く人々を観察する。
この世界に来て1週間がたつ。住む場所にも食事にも困っていないのが奇跡だと思う。
突然送られた明治時代。
私がこの時代に持ってきたものたちは役に立たなかった。強いて使えるものをあげるとしたら腕時計だ。時間に緩いので必需ではないけれど。
私は本当に環境に、人に恵まれた。
芽衣さんに見つけてもらったこと。
常盤で音奴さんに出会って居候することになった事。
チャーリーさんに教えてもらった帰る為の手段。
どれも自分1人では詰んでいた。
芽衣さんに見つけてもらわなければ、路頭に迷っていただろう。
音奴さんの好意がなければ住む場所が無くて、ホームレスになっていたかもしれない。
チャーリーさんがいなければ、きっと元の時代に帰ることを諦めていた。帰る手段はないと思い込んでいたかもしれない。
巡り合わせ、運命、縁。
色々な出会いの言葉があるが、それらの重要性をこの時代に来て初めて理解した。
人の繋がりはすごいと思う。
なんてことを考え時間を潰していたが、まだまだ午前。
やはり手持ち無沙汰なので、部屋の掃除を少しして昼寝をした。太陽がポカポカとあたり、気持ちよかった。
何時間眠ったのだろう?
目がが覚めると窓の外には赤い空が見えた。
空の変化から推測するに3、4時間くらい眠っていたようだ。
あたりを見回すと、部屋の入り口付近にどんと置かれた巾着と羽織。
隣には布団が敷いてあり、誰かが布団の上で寝ている。
本来、音奴さんが眠るその布団。
しかしその布団で眠っていたのは、
男性だった。
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小崎相良(プロフ) - 閃光のまりあんぬさん» コメントありがとうございます!不定期な更新ですみません(>_<)藤田さんカッコいいですよね!少し不器用な優しさにキュンときます(o´艸`) (2020年2月20日 9時) (レス) id: b334f4b37a (このIDを非表示/違反報告)
閃光のまりあんぬ - とっても面白いです!! 更新頑張ってください! 楽しみにしてます☆ ちなみに私は藤田さんファンです…! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 68c769878e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2019年8月13日 19時