第卅玖話_約束 ページ42
『……』
伝説上の生き物をそんなに簡単に見てしまっても困る。
そうこうしているうちに、日は少しずつ沈み空が橙色に染まってきた。今日は仕事の日なので早めに帰らなければならない。仕事へ向けて体をほぐすように肩をぐるりと回す。身体の気だるさが少し和らいだような気がした。
『八雲さん』
「ハイ?」
『私は今日仕事なので帰ろうと思います。明日も一緒に探して下さいますか?』
「明日ですね!大丈夫です!それにしても、お仕事ですか……因みにAサンはどちらでお仕事をされているのですか?」
『神楽坂のお酌として働いでいます。よく伺うのは常盤ですね』
「お酌さんだったのですか!いいですねぇ!」
『そうですか?ではいつか会いにいらしてください。明日の時間、どうしましょうか?』
「今日と同じ時間でもよろしいですか?」
『わかりました。明日また今日と同じ時間にここにきます』
「では、神楽坂までお送りしましょう!」
『ええ?大丈夫ですよ!俥使いますし』
「そうですか……ではここでお別れですね。Aサン、明日も宜しくお願いします!」
『宜しくお願いします』
ぺこりとお辞儀をして別れ、俥を呼び止める。見送るように立つ八雲さんにもう一度お辞儀をしてから、『神楽坂までお願いします』と行き先を伝え、俥に乗り込む。
携帯電話がない不便さを肌で感じながら、私は帰路をたどるのだった。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます!私も芽衣ちゃん好きです!こちらこそ、これからも宜しくお願いします! (2019年6月30日 20時) (レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです!めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2019年6月15日 0時