第廿弐話＿経緯 ページ25
菱田さんが描く様子を見つめていると、廊下からパタパタと足音が聞こえてきた。それからバンッという音がして扉が開く。
「ただいま戻りましたっ！」
「君、もう少しお淑やかに入れないの」
「フミさんから、Aさんがきてるって聞いたので！」
「会話になってないし」
『……こんにちは、芽衣さん』
「こんにちは！如何されたんですか？」
芽衣さんはそう言ってこちらを見つめる。
元の世界の話題を菱田さんの前で言っても良いのだろうか。芽衣さん自身がこの家の人たちに全てを話しているかわからないし…菱田さんも私の状況について言わなかった。
無口な人だからかもしれないけど。
悩んだ末に、濁して尋ねてみる。
『あの、私の“家”のことと“時代”のことでお話ししたくて……』
「！……それなら部屋、行きましょう」
そう言って芽衣さんは私の手を引く。
『……っ、菱田さん！ありがとうございました！お話しできて楽しかったです』
芽衣さんにグイグイ腕を引かれながら、私は菱田さんに声を掛ける。菱田さんは視線をあげ、一瞥すると再び視線を紙に戻した。
場所が変わって芽衣さんの私室。
2人で向かい合って座る。
「Aさん、ありがとうございます！私が未来から来たことは、鴎外さんにも春草さんにもまだ言えてなくって……」
『大丈夫ですよ』
「Aさんもタイムスリップしてきたんですよね？」
『そうですね……現状を考えるとそうだと思います…』
「私もです。私の場合はマジックショーに参加したことがきっかけでした」
芽衣さんはチャーリーさんという人の “人を消すマジック” に参加したそうだ。大きな箱の中に入っているうちに意識が遠のき、次に目覚めた時は明治時代だったと。
チャーリーさんに連れられて鹿鳴館に忍び込み、服装を咎められているところを鴎外さんに救われ、最終的に鴎外さんの家でお世話になっているそうだ。それと、鴎外さんの要望で婚約者のふりをしているらしい。
にこにこ笑いながらけろっと話す姿を見て、それはそれですごいなぁと感心した。芽衣ちゃん曰く「お肉の為なんです！」らしい。わからない……。
2人で話し合い、同じ時代から明治時代へ来たという結論が出た。けれど私が戻る方法は出てこないし、思いつかない。
どれだけ話し合っても、2人だけでは結論が出ない。そこで、芽衣さんの提案でチャーリーさんに会いに行くことにした。もちろん芽衣さんも一緒に。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
