第拾漆話＿二日目 ページ19
2人と目線を合わせる。
『暖かな心遣い、ありがとうございます。せっかくの申し出ですが、その、私としては此処で働かせていただこうと考えております。ですので、申し訳ありませんが今回はお断りさせていただきたいと思うのですが……』
恐る恐る顔を上げると2人は気にした様子はなく、それどころかニコニコしていた。
その様子に驚いてしまう。
「Aさんは大人ですね……私なんて鴎外さんに飛びついてしまったのに！」
『そんな事はないです……』
「はは、お嬢さんは真面目なのだね。君がそう決めたのなら僕は何も言わないよ。あ、でも子リスちゃんが寂しがるだろうから、よかったら遊びにおいで」
『ありがとうございます。遊びに、行きたいです』
そういうと鴎外さんは嬉しそうにニコッと笑った。
それから音奴さんは女将に話をつけてくれたようで、私はお酌さんとして働くことになった。音奴さんが言っていた通り、人手が足りていないので直ぐにでも働きに出て欲しいとのことだった。ただ１つ問題が。
「こっちから誘っておいて申し訳ないんだけど……置屋に空きがないんだよ。だからさ、アタシと相部屋になるか、大部屋に入ってもらいたいんだけどねぇ？どっちがいい？」
『えと、音奴さんならどちらにしますか？』
「アタシかい？そうだねぇ……アタシなら相部屋だね」
『では相部屋にします』
「え？！そんな決め方でいいのかい？！」
『はい』
翌日、音奴さんに礼儀作法、お酌としての立ち回り方を習った。
今までそんなことは学んでこなかった私。全ての物事を1から覚える必要があり、覚えることが多くて目が回りそうだ。
おまけに此処での常識もわからない。
何が正しくて、何が間違っているのかも。
日が暮れてからは座敷に上がり、お酌として働いた。初めての座敷だ。
午前中に教わったことを気にしながら、立ち振る舞いに気をつけて動き回る。着物で動き回る事は楽ではなかったが、お姐さん方がフォローしてくれたおかげで、何とか一晩乗り越えることができた。
一仕事を終え、音奴さんと一緒に置屋へと帰る。
「A、1日終わったけどどうだい？」
『どう、とは？』
「続けられそうかい？」
『知らないこととか多いですし、動き方も分からなくて、まだまだですけど、でも、やりがいを感じました』
「……！」
『ご迷惑をおかけしてばかりですみませんでした。明日も、宜しくお願いします ！」
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
