第玖話＿服装 ページ11
乗り込んだ馬車の中にはもう1人、青年が乗っていた。帽子をかぶっているその青年は、私の姿を見てぺこりと頭を下げる。私もあわせて頭を下げた。
私が馬車に座ると隣に芽衣ちゃんが腰掛け、青年の隣には鴎外さんが座った。
「Aさん、突然すみませんでした。信じて下さってありがとうございます！取り敢えず、お二人を紹介しますね」
そう言ってにっこりと笑う芽衣さん。
とても可愛らしい。
「こちらの方が森鴎外さんです。で、隣が菱田春草さん」
森鴎外ってあの人だよね…小説家の有名な…菱田春草さんはよくわからないけど。
『……AAと言います』
「君、男なの？女なの？」
『……生物学上は女に分類されますかね……？』
「なんで疑問系なの……」
「……春草、いくらなんでもそれはご婦人に失礼だろう？」
「では鴎外さんはこの洋装が、女性用の服に見えるんですか？」
「それは、まぁ、見えないが……」
パーカーにジーンズなら男女兼用デザインだと思うのだけれど…彼らの感覚は違うようだ。そのまま彼らは女性の服装談義を始めた。その様子を見てか、会話を聞いてか分からないが、芽衣さんはくすくすと笑っている。その様子はとても楽しそうだ。
『(楽しそう……)』
「……面白い考え方ですよね」
『？』
「私、ここに来た時制服だったんです。一般的なブレザーにミニスカートでした。でもここではその服装は良くなかったみたいで」
『……良くなかった？』
「はい。春草さん曰く「みっともない」そうです。女性が肌とか、足を露出することはよくないことみたいで、」
「子リスちゃん、お嬢さん、着いたよ」
そう話しているうちに目的地である“神楽坂” のお店に着いたようだった。賑やかな雰囲気と女性の笑い声、笛や太鼓の音があちらこちらで聞こえる。
キョロキョロと周りを見渡す私を見て、鴎外さんはにこにこ笑っている。
彼の笑みの意図がわからず私が首を傾げると、私を見て「はは」と笑い声をこぼした。
「いや、お嬢さんの行動が少し前の子リスちゃんにそっくりだったのだ。なんだか懐かしくてね……」
「私ですか？！」
「うむ」
「……それは挙動不審の間違いでは」
「春草さん？！」
『す、すみま』
「おや！森先生じゃないかい？」
『！』
入口近くから声がしたので驚いて咄嗟に振り向く。
そこには、艶やかな赤い着物を着た女性が立っていた。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
