【ヒロアカ】ここにいる理由

第6話:発動条件 ページ8

『条件ですか？』

「ええ、そうよ。『個性』によっては使うための条件がある場合もあるのよ……そうね、対象に触れるとか、体内に取り込む、とか……」

『なるほど……』


そこで手に持って望んでみる。
……増えない。
湯呑みを体内に、はちょっとなぁ……


「増えませんねぇ、どうしてかしら？」

「なあ、A。プリンは全部食べてからもう１つ望んだのかい？」

『はい』

「お茶、飲んでからならどうだい？」

「A、貸してごらん」


おばあさんは緑茶を淹れてくれた。
一口飲む。願う。

……増えた。


『条件は体内なんでしょうか……？』

「A、これは増やせるかい？」


そう言っておじいさんが持ってきたのはスプーンだった。


『え、食べるということですか？』

「食べんでいい、望んでみなさい」

『スプーンがもう１つ……』

カシャン

『……………増えました』

「あら、本当ね」

『え、え？どういう……？』

「このスプーンな、さっきAがプリンを食べた時に使ったスプーン持ってきたんじゃ。これが増えなかったら条件は体内で確定だと思ったんだがなぁ」

「増えましたねぇ」

『発動のトリガーは体内じゃない……？』


このスプーンは食べるのに使ったもの。
ということは唇か舌がトリガー？

そこで、近くにあった鉛筆に唇で触れてから増えるように望んでみる。
…………増えた。増えよった。


「あらあら」

「おお、発動条件が接吻とはなぁ」

「ロマンチックねぇ」

『……そう、ですね』

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