第9話:引き金 ページ11
最近はテレビでヒーローが人助けをー…なんてニュースでよく見ていたので、こういうことなのかと少しヒーロー気分を味わえた気がする。道でたまたま声をかけてきた二人組。お米を運んでいると言っていた。あの量からして商売用か、何処かへの仕入れであろうと思う。
それにしても車を使えばいいのに、リヤカー(人力)で運ぶとは相当お金がないのだろうか。
今のご時世というか、この異世界には車も走っているのにリヤカー……あのお米が無事に運ばれることを祈りつつ、自分は帰路を目指すのだった。
『増やす』というのは、やはり便利な『個性』であると改めて感じた。
今までは自分がお世話になっている人にしか見せてこなかったこの力を、初めて初対面の他人に使った。
手助けのつもりだった。
優しさのつもりだった。
けれどそれが、悪い方向へと転がる引き金になってしまった。
その日の夜中、我が家に初めて
……その中には昼間に米を運んでいたあの時の2人のすがたがあった。
彼らの親玉と思われる人物は、老夫婦に向かってこう告げたのだ。
「そいつを寄越しな、『増やす』力があるんだろう?」
と。
状況は最悪だった。何せここは片田舎。
それも今は深夜だ。他からの助力は望めない。おまけに、おじいさんも、おばあさんも戦闘に特化した『個性』ではない。戦闘になれば数でも力でも劣っているので、勝機はないだろうと思う。
この状況は……今まで経験したことのない展開だ。どうしたらいい……考えても考えても思いつかない。
自分は思い知った。
この『個性』はとても便利だが、“無力”であると。
どんなに増やす力があっても、増やす対象となる何かがなければこの力は発揮されない。おじいさんの力を増やしたところで闘うのはおじいさんだし、自分の周りにある物を増やしてもいいが相手の個性がわからない以上使えない。
もちろん自分で闘うことも考えたが、柔道や格闘技は習ってこなかったし、弓道も剣道もしたことない。それと、前に自らの力が増やせないかと思い試してみたが増えていなかったので、自分のパンチの威力を上げたり、走る速さを速くすることは出来ない。
術が、ない。もう、選択肢は……ひとつだ…………
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小崎相良(プロフ) - 評価150票!皆様、ありがとうございます!嬉しさでにやにやしております(笑) (2019年7月12日 19時) (レス) id: be5de34a4a (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 瀷さん» コメントありがとうございます!頑張ります(´∀`*) (2019年6月1日 20時) (レス) id: fd7aceb583 (このIDを非表示/違反報告)
瀷 - 弔推しなんですけど、初登場が可愛いw頑張ってください! (2019年6月1日 19時) (レス) id: 3960a531d7 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 充希さん» ありがとうございます!どの場面でしたか?訂正したいので、教えて頂けると嬉しいです (2019年3月13日 23時) (レス) id: 4835e70326 (このIDを非表示/違反報告)
充希 - オールマイトの一人称は僕ではなく、私です! (2019年3月9日 13時) (レス) id: 1c94acc086 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2018年9月30日 14時