空振り三振悪党業《三振目》2 ページ43
__________燃え盛るビル内、社長side__________
「もうダメだ……どの出入口にも火の手が回ってる……」
「ちくしょう……こんなところで！！」
「消防車はまだ来ないの！？」
誰も彼もが絶望している。かく言う儂もその1人だ。
そりゃそうだ。入り口だけでなく、非常用通路まで火で塞がれた。窓もあるにはあるが、ここは4階。飛び降りたら待っているのは死だ。
……それにもう、煙が部屋に充満してきた。頭がひどく痛い。目の前も霞んできた。意識もふわつく。もうダメなのか。
せめて最期は、と思いふらつく脚を奮い立たせてデスクに飾っていた孫家族と撮った写真を手に取ったその時――
――ギギギィｨｨｨｨ…………バゴンッ！！
「何だ！？消防隊員か！？」
「……まさか。人力じゃあんなことできやしねぇよ」
自分の目を疑った。
入り口を塞いでいたドアの真ん中が部屋の外側へと折れ曲がって行き、最後にはドアが部屋の外に吸い込まれるようにして外れたのだ。
ドアが折れ曲がる時、確かにドアを掴む手が見えた。それも小さくて白い手が。
思わず固まってしまい、じっとその方向を見ていると。
「歩ける人は全員わたしについてきてっ！！
――勝手に巻き込まれるなんて許さないんだから！！」
見間違いなんかじゃなかった。
取れたドアから入ってきたのは、頬に黒い煤をつけた雪のように白く儚い少女。儂の孫と同じくらいの年か。
儂は、誰よりも力強いその空気感呑まれながら最後の力を振り絞り、その少女に付いて行った。
__________通行人side__________
「あと二部屋ァｧｧ！！！」
そう叫びながら、何度も何度もこのビルと外を往復しまくって次々と人を助けている少女は、また炎が燃え盛るビルへと臆することなく突っ込んでいった。
しかもこの少女、逃げ遅れた人達を案内しながら動けない人も担いで連れてきたのだ。俺が見てる内では最大5人も担いでいた。
「すげぇ……どこからあんな力が出てくるんだ？」
「躊躇せずに炎に突っ込んで行ったぞ……」
「しかもとんでもない手際の良さだ……！！」
周りの人達も俺と同じようにその少女に目が引かれて止まないようだ。中には感銘を受けている者までいる。
しかし、俺は思う。あんな小さい少女が体を張っていると言うのに俺たちはただ見ているだけでいいのか、と。
気付けばその思いは口を突いて出て行った。
「なぁ、俺達もできることはやろうぜ！」
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あいな(プロフ) - 彩さん» 嬉しいですぅ！！ありがとうございます！！ (2020年9月4日 11時) (
レス) id: ae58e04968 (このIDを非表示/違反報告)
あいな(プロフ) - ゆきなさん» ありがとうございます！！次の第4話から松田さんが出てきます！ (2020年9月4日 11時) (レス) id: ae58e04968 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - 初めまして！このシリーズ大好きです(o^^o)更新楽しみにしてます！ (2020年8月31日 19時) (レス) id: bdfba8aa51 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください。楽しみにしてます！(推し(松田さん)達がはやく出てきて助かって欲しいですね！) (2020年7月31日 14時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいな | 作成日時：2020年7月13日 3時
