血統書付きの一匹狼 ページ21
ジンside
確かそいつに初めて会ったのは
あの日の研究所もいつもと同じように陰気な雰囲気を漂わせていたが、それも二発の銃声によってかき消された。
銃声の方へ急ぐも既に誰もおらず、残っていたのは2つの血溜まりから香る血の匂いと硝煙の匂いだけ――
――いや、窓際か。
月明かりを背景に、旅行鞄を左右の手で一つずつ持つその
まさかこいつ、俺がここに来るまでの短時間で2人をその旅行鞄に入れたとでもいうのか？しかも一人で？
その
るのはその男の真っ赤な瞳だけだ。
俺を見る瞳は爛々としていて、獲物を狙う狼のような目つきだ。さしずめ孤高の一匹狼と言ったところか。
――こいつ、只者じゃねぇな。
手際の良さ、気配の絶ち方、無駄のない立ち姿、殺気の隠し方、あげればキリがないがそのどれもが最上級のものだ。……一体いつから
試しにその少し子供じみた喋り口調に向けて銃を撃ってみるが、怯える様子もなく銃弾をひらりと躱して、挑発でもするように一瞬で俺の目の前に降り立った。
ほら、やっぱりただの狼じゃねえ。死すら恐れねぇとんでもない一匹狼だ。
だが、その突然消えたと思えば突然現れる様子はまるで悪魔のようだ。
気に入った。俺はこの悪魔じみた一匹狼が気に入った。
だからこそ俺は、こいつが俺らの手元にいねぇのは気に食わねぇ。
__________________
『あの方』との対面が終わり、『エル・ディアブロ』に与えられた個室に連れて行く。
『エル・ディアブロ』は、今まで勧誘を断り続けていたというのに今は、勧誘を巡っての攻防などなかったかのように俺の後を大人しくついて来ている。
少し拍子抜けするくらい従順だ。
やっと姿を現した男を横目で確認しても、背が高いくらいで筋骨隆々としているわけではない。むしろ細身だ。その体でよく何人もの死体を担げたものだ。
そんな、男のちぐはぐさに頭を捻っていると不意に口を開いた。
「ねぇ、血、くれない？」
『エル・ディアブロ』の名前を裏切らない質問に口角が上がるのが自分でも分かる。
これからじっくり調べあげてやろう。
この悪魔のような血に飢えた一匹狼を。
俺は帽子を被り直してほくそ笑んだ。
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あいな(プロフ) - 彩さん» 嬉しいですぅ！！ありがとうございます！！ (2020年9月4日 11時) (
レス) id: ae58e04968 (このIDを非表示/違反報告)
あいな(プロフ) - ゆきなさん» ありがとうございます！！次の第4話から松田さんが出てきます！ (2020年9月4日 11時) (レス) id: ae58e04968 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - 初めまして！このシリーズ大好きです(o^^o)更新楽しみにしてます！ (2020年8月31日 19時) (レス) id: bdfba8aa51 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください。楽しみにしてます！(推し(松田さん)達がはやく出てきて助かって欲しいですね！) (2020年7月31日 14時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいな | 作成日時：2020年7月13日 3時
