大悪党になるしかない【名探偵コナン】【救済】

新しいスタート4 ページ44

「やばい徹底して顔出しを拒否してたのに言っちゃったよまああの人美香さんに借りがあるみたいだから言いふらしはしないかな？されたらどうしよう、てかあの驚きようじゃわたしがArtsですなんて言ったらどうなるの」




ここまで一息で言ってため息をつく。あ、目の前の彼には聞こえない程度の声量で言ったから大丈夫！



実はバイオリニスト兼作曲家のArtsは、超難関と言われる国際コンクールで優勝した後からいろんなコンサートに呼ばれたりして結構頻繁に活動してるから、たぶん知名度はそれなりにある。



これも内緒だね！




「あ、曲作らなきゃ！それから一巻の翻訳も頼まれてたよね……。

あ！そう言えば連載も決まってたんだったっけか……！！？期限いつだっけ……！！？

うわっまだまだやることいっぱいあるじゃん！

ただでさえ担当さんを1人にしろってわがまま言ってんのに……！！

…………………期限を過ぎれば担当さんに容赦なくしめられるのは目に見えてる…」




連載とか出版とか、色んな会社に頼まれてるけどそんなに顔を見せていたらどこからバレるか分かったものじゃない。



だから仲介役として各会社の担当さんをまとめるリーダー的な人にできあがった原稿を渡しているんだけど………。



あの人怒ったら超怖いんだよなぁ……わたしの全力疾走にもついてくるし……。てかカタギの顔じゃないから追いかけられること自体恐怖なんだわ。



最近だって「先生のお陰でパルクールを習得できましたわ！ガハハハ！！」なんて嫌味かジョークなのか分からないことも言われるし………。さすがリーダーなだけあるよね。ははは………はぁ。



………原稿を渡す時だって怪しい取引にしか見えないんだよなぁ……。まぁその方が顔バレしないんだけどさ。



あれ？？そういえば連載ってことは余計に追いかけっこが激しくなるんじゃあ…………！！


そこまで思い至って胃が縮こまる。




「あ、いたたたたた胃薬飲んだばっかなのに…！！」



『どうかしたか？』



『なんでもありませんよ(早口)』



『そうか？ならいいんだが…もしわからないことがあったらなんでも聞いてくれ！』




うっわめっちゃいい人じゃん。ありがとう。なんとか締め切りに間に合うように頑張りますわ先輩。職場(FBI)に来られないためにも！！




…………あれ？わたしって担当さんから逃げてるんだよね？？そうだよね？？

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