長官side ページ43
反対へ進み出した彼女を止め、その道が真逆であることを伝えると大層驚いた顔をした。
そしてその少女が連れる真っ白な猫は、よく見ればその猫も左目が金色になっていてよく似ている。
飼い猫なのかと思い聞いてみると、「相棒だ」と言い張る。年相応な返答に、少し笑みが溢れた。
一年前、この子は夜闇に包まれた山を走り降りた。それは夜目が効くなんてものじゃない。ありえないのだ。見えること自体。
後日、彼女の降りた道をイギリス警察が辿ろうとしても、木の根が飛び出たり崖だったりと険しすぎて断念したと言う。
しかもこの少女は兄を抱えて駆け降りたのだ。精鋭でさえ断念したその道で。
スカウトしたのは、そんな身体能力が常人離れした彼女が犯罪組織に狙われないようにするためだ。
「そういえば、この一年間何をしていたのだね?
私はてっきりアメリカに来た後すぐにFBIに乗り込んでくると思っていたよ。」
「実は推理小説家のsub rosaとして活動してました!
この間やっと2巻目が書き終わって一区切りがついたんです!」
「な!?あの作家は君だったのか!」
「あ!秘密ですからね!?誰にも内緒ですからね!?」
彼女があの新鋭作家だったのか!!?
彼女のデビュー作はたったの一週間でミリオンセラーを突破し、その人気は未だとどまることを知らない。
彼女は慌てているが、誰もこんな幼い少女があの作家とは思わないだろう。だから疑われるようなこともなさそうだが……いや、本当に驚いた。
『こんにちは長官。そちらの方は?』
『あ、ああ彼は――』
『倉敷 ハクだ。よろしく。』
『ああ、こちらこそよろしく頼むよ。』
訓練官が近付いた気配を感じ取ったのか、すぐに無表情に変え青年のような声で応対するその姿は女と知っていても男に見違えてしまう。
……これは予想以上だ。ピクリとも動かない表情筋からは何も読み取れない。
『―――?』
『――。』
『――!――』
本当に同一人物か?仕草まで変えてしまうとは……!背筋を冷たいものが伝う。
『――長官!どうなさいました?』
『い、いや。なんでもない。君もそろそろ訓練に戻りたまえ。私は彼を案内する。』
『いえ、そのことなのですが。もし長官の許可を頂けたら彼は私が案内しようかと。』
『そうか。ではよろしく頼む。』
『『Yes sir!!』』
そう言って2人は訓練室へ入って行った。
「………本当に何者なんだ。」
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あいな(プロフ) - mineさん» じゃあ誕生日もう直ぐなんですね!!少し早いですがおめでとうございます!! (2020年6月1日 3時) (レス) id: 81b2bfa228 (このIDを非表示/違反報告)
mine(プロフ) - マジかw夢主と誕生日一緒www嬉しい♪そして、すごい面白かったです!! (2020年5月31日 22時) (レス) id: bb35a2bcb5 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - すごく面白かったです!これからどうなるのか気になります! (2020年5月16日 12時) (レス) id: 92677f67cc (このIDを非表示/違反報告)
あいな(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます!!励みになります!ぜひまた読んでくださいね! (2020年5月13日 19時) (レス) id: 5303af059d (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 面白くて一気に読んでしまいました!笑 更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月13日 16時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいな | 作成日時:2020年5月10日 1時