もう何も言わん ページ31
さて、あれから数週間。明日は誕生日なのである。
あれから赤井家長男が家に来るようになった。家に来る時は決まって長男はお菓子を持っていて、わたしにくれるのだ。
甘いものに目がないわたしはすごく嬉しかった。
食べさせてもらわなければならない、ということ以外は。
「自分で食べられるのに……。」
そう。毎回毎回クッキーやらをわたしの口元まで持ってきて、そのまま食えというのだ。いや、正確には笑顔で圧をかけているのだ。……あの笑顔には逆らえる人いないってマジで……。
しかも何が楽しいのかこの男、2日に1回くらいの頻度で訪れるのだ。
毎回違う種類のお菓子で、どれも美味しい。しかも勉強の後なので甘いものの誘惑には抗えない。
恥ずかしいのに後悔してないなんてわたしはどんだけ強欲なんだ……
餌付けだって?しょうがないよ!!甘いものしか勝たんから!!また大学の勉強後に甘いものがしみるのよ!!わたしの物欲が完全降伏しちゃってるけどね!!
「秀と呼んでくれないか?」
「」
「ホォー。
「呼びますっ!……しゅ、秀さん……?」
「……まあ、及第点ということにしてやろう。」
…………この前だってこんな会話をしたばっかりだ。お菓子で釣られてるあたりわたしの強欲さが滲み出てるね!!悪かったね!!強欲で!!
その上、兄を籠絡されたわたしにはもうなすすべはない。シャーロキアン同士話があったのだろう。
最初は胡散臭いものを見る目だった兄が、今やもう目が爛々としている。匠もびっくりな劇的ビフォーアフターだ。
そんなことを食器の後片付けをしながら考えていると。
――ピンポーン
こんな時間に誰かな。もう夜の8時だ。不審に思い、洗い終わったフライパンを手に玄関へ向かう。
「夜遅くにすまない」
ドアを閉めた。
「なにも締めることはないだろう。」
こじ開けやがった。
「今日はこれを渡しにきた。」
そう言って箱を渡された。そっと開けてみる。
「え」
「明日、誕生日だと聞いた。お兄さんのものもある。よければ付けてくれないか?」
「え」
「ああ、お兄さんから誕生日は聞いていてな。驚かせたかったんだ。」
中身は赤い石のついたオープンハートのネックレスだ。いや好みにドストライク!!エスパーかな!!?
「え」
――あれ?さっきから「え」しか言ってなくね……?
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あいな(プロフ) - mineさん» じゃあ誕生日もう直ぐなんですね!!少し早いですがおめでとうございます!! (2020年6月1日 3時) (レス) id: 81b2bfa228 (このIDを非表示/違反報告)
mine(プロフ) - マジかw夢主と誕生日一緒www嬉しい♪そして、すごい面白かったです!! (2020年5月31日 22時) (レス) id: bb35a2bcb5 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - すごく面白かったです!これからどうなるのか気になります! (2020年5月16日 12時) (レス) id: 92677f67cc (このIDを非表示/違反報告)
あいな(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます!!励みになります!ぜひまた読んでくださいね! (2020年5月13日 19時) (レス) id: 5303af059d (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 面白くて一気に読んでしまいました!笑 更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月13日 16時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいな | 作成日時:2020年5月10日 1時