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秀一side ページ29

俺たちの前に正座しているその子は、ひどく緊張したような顔でこちらを見つめる。その顔は心なし強張っているようにさえ見えた。



少し無理に連れて来たから怖がってるのか……?なら申し訳ないことをしたな。それにしても……



輝く白金髪(プラチナブロンド)に緊張のせいか少し血色の悪い白い肌、綺麗な青い瞳に可愛らしい顔。

左目に付けられた眼帯さえ彼女の引き立て役になっている。



あの眼帯だけは意地でも取ろうとしなかったな。いや、シャワーを浴びる時は取ったのだろうが……。



遠回しに眼帯のことを聞いてもはぐらかされることしかなかった。


いや、『生まれつきのもので……。』とだけ答えて、もうこれ以上は聞かないで、といった様相にそれ以上の追求を諦めざるを得なかったのだが。



隠されているものほど知りたくなるのは仕方ないことだ。



A Aと名乗った少女は、本が好きなのかキョロキョロと頬を染めてあたりを見回している。ふと一点に視線が止まり、目が輝く。一体何の本を見つけたんだ……?と本の題名を見る。




シャーロックホームズシリーズの『緋色の研究』




さっきの強張った表情がまるで嘘かのようだ。口角が少し上がり、目尻が垂れたその表情に目を奪われる。



――隠されたものを暴きたいと思うのは、この子だから余計に、か?



どうやら俺は俺が思っている以上に気に入っているようだ。表情がコロコロと変わる、この可愛らしい少女のことを。




「シャーロックホームズが好きなのか?」




ピクリと肩を弾ませ、ゆっくり首を回し俺をみる。戸惑いの表情を浮かべながらも暖かい光をたたえたその瞳に、いつのまにか吸い込まれていた。


見る角度によって海のように色を変えるその瞳の輝きは、俺が目を背けることを許さない。いや、背けたくない。




「兄の影響で、わたしも好きになりました!」




ふわりと咲いたような笑顔に思わず胸が締め付けられる。しかし、話は終わりだと言わんばかりに本にまた目を向ける。



目を奪われていた俺は、その夢中な姿に笑みが漏れる。その無防備さが先ほどのギャップと相まってまた愛らしい。



誰にも抱いたことのないような感情を胸に秘め、そっと彼女に近付きサラサラとした髪を撫でる。驚いたような表情をしている彼女が可笑しくて、また自然に笑みが零れる。



確か家はこの近くと言っていたな。また会えるだろうか。

あ、赤井ィィイ!?3→←赤井ィィィイ!!2



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あいな(プロフ) - mineさん» じゃあ誕生日もう直ぐなんですね!!少し早いですがおめでとうございます!! (2020年6月1日 3時) (レス) id: 81b2bfa228 (このIDを非表示/違反報告)
mine(プロフ) - マジかw夢主と誕生日一緒www嬉しい♪そして、すごい面白かったです!! (2020年5月31日 22時) (レス) id: bb35a2bcb5 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - すごく面白かったです!これからどうなるのか気になります! (2020年5月16日 12時) (レス) id: 92677f67cc (このIDを非表示/違反報告)
あいな(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます!!励みになります!ぜひまた読んでくださいね! (2020年5月13日 19時) (レス) id: 5303af059d (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 面白くて一気に読んでしまいました!笑 更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月13日 16時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あいな | 作成日時:2020年5月10日 1時

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