降り積もる任務。 ページ29
「お疲れ様。」
レオナは、重い空気を漂わせる兵士たち一人ひとりに声をかける。仮にも副兵長であるレオナまでもが、沈んでいる場合ではないのだ。
「ディター、怪我は無い？」
「はい。お陰様で･･･。」
ディターがすまなそうにレオナを見る。
「あの、副兵長。先ほどは･･･。」
「あぁ、そういえばディターに仕事があるんだった。」
謝ろうとするディターを遮る様にレオナは、書類を突きつけた。
「幹部が忙しいものだからさ、イヴァンのご家族に遺品と死亡通達書を渡して欲しいの。」
「副兵長これはでも･･･。」
「エルヴィンには秘密ね」
ディターはその通達書を持つと呆然と立ち尽くす。死体を持ち帰れなかった、償いだ。レオナは、そういうとすぐに団長室へ向かった。
「エルヴィン、レオナよ。」
「あぁ。」
団長室をノックするとすぐに答えが返ってきた。ドアを開けると、アルマが山のような書類を分別していた。
「レオナ、お疲れ。」
「アルマも。」
アルマはすぐに書類に目を戻すと、分別を再開した。壁外調査後はいつもそうだ。今回の遠征の報告書が幹部・分隊長・班長に渡され、新兵は初の遠征であるため、感想文のようなものを一人ひとりが出す。
そして負傷者の名簿、処置書、請求書、保健書。死者の経歴書、遺品回収証明書、退団確認書、戸籍書 ･･･などなど。
鬼のように幹部に降り注いでくるのだ。
「エルヴィン、お疲れのところ悪いんだけど急ぎの仕事があるの。」
エルヴィンはレオナのほうに顔を向け、ソファに座るように促す。レオナはメモ用紙を取り出すとすぐに説明を始めた。
「確実に。調査兵の中に女型の仲間が居るよ。」
「やはりか。」
「疑わしいのは、104期のライナー・ブラウン。彼が、女型に一度体をつかまれ脱出した後、女型はすぐに方向を変えてエレンのほうに走った。だから104期生の戸籍名簿が欲しい。」
「全員分か。」
「勿論。」
レオナの返答にエルヴィンも肩を落とす。報告書＋名簿調査ときた。
「でもよ、レオナ。管理的に兵団全体がちゃんと管理してるわけねーだろ。」
「あぁ、アルマいい所に居た。」
アルマは何をかを察したように、その場から離れようとする。が。レオナに捕まえられソファに座らされた。
「明日休んで、明後日のお昼までに、名簿の整理して持ってきて！」
「お前は鬼か！！！」
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小西 利音(プロフ) - ナルさん» コメントありがとうございます！ミルミハになってました？！すみません指摘ありがとうございます (2019年7月3日 2時) (
レス) id: 0660aea05f (このIDを非表示/違反報告)
ナル - すごく面白かったです！！更新頑張って下さいあと、ミルミハ区ではなく、エルミハ区ですよ!! (2019年6月21日 17時) (レス) id: 4a1c354212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小西利音 | 作成日時：2017年4月11日 12時
