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8(Kiside) ページ8

次に皆で会えたのは、二日後

あれからずっと俺の指には、あの指輪は嵌ったまま

昨日ニカから「やっぱり取れなぁーい!」って電話があったけど、きっと他のメンバーも指輪は取れないままなはず…

藤ヶ谷はあの日からずっと横尾さんの家に泊まっているみたいだ





「おはよ…」





皆どこか気持ちは晴れないでいる

そりゃそうだ

二日間、何の進展もなくもやもやを抱えたままなんだから





「あれから何度か外そうと頑張ってみたけど、ピクリともしないよ。」





玉も憂鬱そう

それを聞いていたニカの様子がおかしい





「ニカ…?」





青ざめた表情のニカにチラリと目をやった千賀が代わりに口を開く





「あのね…。ニカが指輪を壊して外そうとしたんだけど…」

「え?あの電話の後?」

「…」





じっと指輪を見たまま、表情を強張らせるニカ





「どうした?ニカ。」

「……光った…」

「え?」

「…えっとね、指輪がなんかピカーって光って熱くなったんだって。だから怖くなって、壊せなかったみたい。」





千賀の言葉に皆で顔を合わせる





「……ホントか?ニカ。」





ニカは相変わらず表情を固めたままで小さく頷いた





「とにかく、無茶はしない方が良いって事だな…。」





横尾さんの言葉に皆、不安な気分を隠しきれない





「藤ヶ谷は?何か変わったことあった?」





挨拶を交わした後、一言も発していない藤ヶ谷が気になる





目の下のクマが消えていない

それどころかまた濃くなった気がする

きっとあれからもずっと眠れていないんだろう





戸惑う様に瞳を揺らす藤ヶ谷に





「まだ夢は見てるの?」





玉が優しく問いかける





「うん…」

「太輔…話したら?」

「でも…」





横尾さんとの会話に何かあったんだってすぐに分かった





「藤ヶ谷。俺らの間に隠し事はなしだ。藤ヶ谷1人で抱え込むことなんてないんだからな。」

「そうだよ。もう俺達にとっても無関係な事ではないからね。」





宮田が指輪を見せながら微笑むと、藤ヶ谷は悲しげに微笑み返して口を開いた





「彼女の声を…初めて聞いたんだ。」

「声って…女の人が何か話したって事?」





千賀の問い掛けに小さく頷く





「何て言ってたの?」

「『はぐるま』って…」

「はぐるま?」

「はぐるまってあの…ギア―の歯車?」

「分かんない…。あと…『助けて』って。」





そう言うと藤ヶ谷はギュッと拳を握りしめた






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作者名:MISA | 作成日時:2015年10月1日 17時

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