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5(kIside) ページ5

「ね、ガヤさん、もう1回やってみてよ。」





長い沈黙を破ったのは、その光景を見ていなかったニカだった





「は?」

「だって俺ら見てないもん。説明されるより見た方が早いでしょ。」

「いや、そりゃそうだけどさぁ…」

「……そんなのできる訳ないじゃん…。」





藤ヶ谷が戸惑うのも無理はない

目の前で起こった事は、現実にはありえないような出来事





「分かんないじゃん。やってみるだけ!ね?」





それでも引き下がろうとしないニカに、藤ヶ谷が不安そうに俺を見る





「藤ヶ谷…とりあえずやってみようか。」

「えっ…?」





この時の俺はまだ、目の前に起きた事が信じきれなくて、もう一度現実を確かめたい気持ちがあった

戸惑う藤ヶ谷の手からペットボトルを奪い取ると、元々あった場所にそれを置いた






「いいよ。さっきみたいに水飲みたいって思ってみて。」

「う、ん…。」





藤ヶ谷の前には期待に目を輝かせる3人

見ていた俺達は、得体のしれない不安に支配されたように、藤ヶ谷とその先のペットボトルを見つめていた

藤ヶ谷は不安な表情を浮かべながらも、周りの空気に押されたように渋々俺達に従う

眉間にしわを寄せたまま藤ヶ谷がペットボトルを静かに見つめた時だった

ほんの少し浮かんだペットボトルが、ゆっくりと俺達の前を通り抜け藤ヶ谷の手の中に移動した





「うわぁっ!!」

「すげぇ…」





俺達の疑念が確信に変わる





「出来、た…」





興奮なのか、怖さなのか、小さく震えている藤ヶ谷が呟いた時、固まったままだった千賀と宮田が我に返るように視線を藤ヶ谷に向けた





「…な、何…今の…?」

「これって…いわゆる超…能…力…?」

「え…わ、わかんねぇよ…」

「改めて見ると、すごいな…」





いつもは冷静な玉も横尾さんも、さすがに震えている





「ねぇ?何で?・・・ねぇ、ガヤさん、何でこんな事出来るのっ!?」





ニカだけが興奮して藤ヶ谷に抱きついていた





「そ、そんなの知らねぇよ…。俺自身が一番今驚いてんだから。」





騒然とする楽屋





藤ヶ谷の身に何が起こってる…?





得体のしれない恐怖に、俺も震えを止める事が出来なかった






.

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作者名:MISA | 作成日時:2015年10月1日 17時

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