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29(Yside) ページ29

逃げ込んだ森の中

ふり返っても島人達は、もう追っては来ていないようだ





「はぁ…はぁ…」





疲れ果てて、皆、崩れるように地面に座り込んだ





「皆…怪我、ないか?」





息を切らしながらもミツが皆を見渡して確認する

声は出せないけど、皆きちんと頷いた





「それにしても、4人とも凄かったね。」

「玉ちゃんのパンチ、カッコ良かったですな。」





俺と宮田で4人を褒めると嬉しそうに笑う千賀とミツ

まだ息を切らしてる玉…

そして、ニカがいきなり声を上げた





「もう!あれ何なの!?何で俺達が、こんな目に合わないといけないの?!」

「確実に俺達が石を盗みに来たって思ってるよね、あの人達…」

「そうだね…。」





千賀の言葉に宮田が石の入ったカバンをギュッと抱きしめた





「とにかく、この石を狙って島人がまた俺らを襲ってくるかもしれない。しばらくは団体行動な。」

「うん。……民宿にも…もう戻れないよね…」

「あっ!マジかっ。そうか…そうだよな…」

「どうしたの?ニカ。」

「ん?…いや…千賀と2人でエ ロ雑誌見ようと思って持って来てたんだよね…」

「えっ!マジ?」





相変わらずこの二人はおバカ丸出しだけど…





「ホント、お前らバカな?」





ミツの呆れた声に、こんな時でも皆が笑えてるから…

2人の存在って大きいんだ





「とりあえず…」





ここにずっといる訳にもいかない

場所を移動しようって言おうとしたら





「どうして…」





いつもの声とは比較にならないくらい低い声で玉が呟いた





「…玉?」

「どうして、誰も何も言わないの?」

「…いきなりどうした?玉。」





玉の肩に触れようとしたミツの手を玉が振り払う





「どうしたじゃねぇよ!誰もおかしいって思わないのかよっ!明らかに不自然だっただろ!」

「な、何の事…」





玉の言いたい事は分かってる

だけどそれは…触れてはいけない事の様な気がしてた

玉の言葉に視線を泳がせる宮田やニカ千もきっと思っている事は同じ…





「あんなにいきなり木が倒れたり、燃えたり…。絶対おかしいだろ!まさか…」

「玉っ!」





それは言っちゃいけない

それ以上は…





玉を止めようと声を上げた時、俺の後ろで





「俺がやったんだ…」





感情の無い太輔の声が響いた






.

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作者名:MISA | 作成日時:2015年10月1日 17時

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