僕らの約束 (ページ25)

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２５（Yside）ページ25

疲れきった様子の太輔を抱えて民宿に戻ると、民宿は異様なほどに静まり返っていた

「あの…ただいま、帰りました。」

「……」

見かけた従業員に声を掛けたけれど、女性はちらりと俺達を横目に見ただけで奥に入ってしまった

「なんか、朝より怖いんですけど…」

宮田が空気を和らげようと、笑って言うけれど、ビビりなニカと千賀なんてこの空気に泣いてしまいそうになってる

「なんだよ。客商売やる気あんのかよ。」

玉は恐怖を通り越して怒りに変わったみたい(笑)

部屋に入って、着替えを済ませるとミツが用意してくれた布団に太輔を寝かせた

「色々あったから疲れたね。ゆっくり休むといいよ。」

「ん…ありがと…。」

「藤ヶ谷、飯食えそうか？」

「どうだろ…ちょっと、無理かもな…」

「雑炊とかにして貰うか。」

コクンと頷いた太輔を見て、宮田と玉が「俺達が伝えてくるよ」と行ってくれた

「飯が来たら起こしてやるから、寝ていいよ。」

「ん…ごめんね…」

「謝んな。藤ヶ谷が謝る事なんて何もないんだからな。」

ミツが太輔の髪をそっと撫でると、太輔の眼から一筋涙が流れ落ちた

自分が皆を皆を巻き込んでると思ってるんだろうな…

「何だか良くわかんねぇけど、今回の事に巻き込まれたのは藤ヶ谷の方なんだ。一番大変な思いしてんのは藤ヶ谷なんだから、お前は俺達に甘えてればいいんだよ。」

太輔の気持ちを一番理解してるのはミツ

その言葉には愛がこもってる

「…ごめん、俺が帰りたいなんて言ったからだね。もう大丈夫だよ。俺がガヤさんを守るよ。」

千賀が太輔の涙をそっとゆびで拭うと、ニカも太輔の顔をそっと覗き込んだ

「俺も、もう覚悟出来たから。ミツの小さい背中を盾にしてでも、ガヤさんを守るからね！」

「…お前だけにはぜってぇ背中貸さねぇ…」

ニカとミツのコンビは、ホント元気を与えてくれるよ

な、そうだろ？太輔…

ふわりと笑った太輔を見ていると、玉と宮田が帰ってきた

なんだか様子が…

「どうした？」

「う、ん…何となくだけど、従業員達の様子がおかしいんだよね。」

「おかしいって…何が？」

「俺達を見る目がね…何となく…」

「うん。何か攻撃的と言うか…俺達を敵みたいに思ってるみたい…」

「敵…」

その言葉を聞いて、俺達はとんでもない所に来てしまったかもしれないと、直感的に感じた

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