僕らの約束 (ページ21)

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２１（Kiside）ページ21

皆で一緒に歩き始める

相変わらず人気のない島は、しんと静まり返って不気味だ

俺達の話し声だけが響く砂利道を、周りを探索しながら歩いていく

「何かさぁ…。何のヒントもなく手がかりを探すって、結構心許無いよね…。」

「確かに。どんなゲームだってヒントの一つくらいはあるもんな。」

「いや、これゲームじゃねぇし。」

「でもさ、宝探しゲームだって思えばテンションも上がらない？」

いつもは頭の一発でも殴りたくなるようなアホな会話も、これだけ不気味な島の中だと、暗闇の中の小さな灯りみたいに心を温かくする

「お前ら、ふざけてばっかいないでちゃんと周り見ろよ。」

「分かってるよ。ちゃんと見てるって！」

「見てるけどさぁ…、さっきから何にもなくね？」

「まぁな。何かあったら逆に目立つくらい何もないな。」

永遠に続きそうな砂利道と、ポツンポツンと現れる家

公共の施設らしき建物などはなく、さっきから店すら見つからない

「これさぁ…何も見つけられないまま島一周しちゃうんじゃない？」

少しの不安と少しの焦りを含んだ冗談に

笑えねぇ…と思った時だった

「ねぇ…。あれ何？」

千賀が指差した先…

生い茂る草木に隠れる様に小さな赤いもの…

「……鳥居…？」

「あぁ…そうみたいだね…。」

俺達の膝丈程の小さな鳥居が、ひっそりと建てられていた

「こんな所に…不自然だよね…」

「そうだな…。神社もなさそうだし…」

見渡して見ても、神社らしき建物は無い

何かを祭っているような形跡もない…

「何の為に…？」

誰もがその存在に不信感しか抱けず、近付く事が出来ないでいた

その時

「…藤ヶ谷？」

フラフラと藤ヶ谷が導かれるように鳥居に向かって歩き始めた

「太輔、危ないよッ！」

横尾さんが止めるのも聞かず、藤ヶ谷は一直線に近付くと、そっとそれに手を触れた

その瞬間

「え…」

藤ヶ谷の指が怪しく光る

「な、何？！」

「…指輪が光ってる」

藤ヶ谷が驚いて鳥居から手を離すと、その指輪はスルリと藤ヶ谷の指から滑り落ちた

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