僕らの約束 (ページ11)

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１１（Kiside）ページ11

藤ヶ谷は行きたがってる

その思いを叶えてやりたいとは思う

けれど…

島に行くのは、危険な気がする

ましてや藤ヶ谷一人なんて…

メンバーも、悔しそうに俯く藤ヶ谷に声を掛けられないでいた

その重い空気を破ったのは玉

「ガヤ、良く考えて。ガヤは今体調も万全じゃないし、スケジュールだってギッシリでしょ？応援してくれてるファンの皆とと夢の中の彼女、どっちが大切？」

仕事に対する思いは人一倍の藤ヶ谷

ファンの事を出されて、瞳が大きく揺れる

「今すぐにでも行きたい気持ちは分かるけど…もう少し待とう？俺達も一緒に行く。マネージャーに話して、スケジュール開けて貰おうよ。」

「玉…」

穏やかな玉の声は、冷静さを呼び戻し言葉を受け入れさせる力がある

「…分かった。」

藤ヶ谷はそう言って頷いた

「スケジュールが空くまでに、体治しておこうな。」

横尾さんが子供をあやすみたいに藤ヶ谷の頭を撫でた時だった

「お疲れ様です。」

マネージャが楽屋に入って来た

ヤバい…俺らまだ誰も着替えてない…

「すいません！すぐ準備します！」

「あ、いえ。まだ時間あるんで…。それより、皆さんに報告があって…」

マネージャーはどこか浮かない顔…

「どうしました？」

「それが…。明日の藤ヶ谷さんの雑誌の取材、先方の都合でキャンセルになりまして…」

それがどうしたんだろう…

そんなことは日常茶飯事

珍しい事じゃない

「それから、明後日の北山さんのバラエティも…」

「え…？」

「CXのレギュラーも急遽特番が入る事になって、収録は再来週に延期になりました。」

「ちょ、ちょっと待って！」

「どういう事…？」

「僕もよく分からないんです…」

次の日にも、来週予定されていたスケジュールが次々と延期や中止になり…

「なんか…気持ち悪いね…」

「さすがにここまで続くとね…」

俺達のスケジュールは1週間、真っ白になった

「導かれてるとしか思えない…」

「行くの…？」

もう俺達の中では、あの島に行く事しか考えられなくなっていた

「呼ばれてるなら行くしかないだろ。俺は行く。」

「北山…」

「太輔は…」

「行く。」

「なら、俺も。」

「ちょ、ちょっと！なに兄組だけで決めてんの。俺も行くよ！」

「俺だって！」

こうして…俺達は7人であの『白瑠島』に行く事になった

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