最後の時 ページ1
「本当は俺とお前は出会うはずでなかった...と言うより、出会うべき存在ではなかったんだ。彩海のように。でも出会ってしまった。それは何故か?...元の世界が、崩壊を始めているからだ。」
涼介「ほう、かい...?」
「そうだ。あまりにも止まっていた時間が長すぎて、元の世界が自分は必要ないと認識し始めてしまっているんだ。もう一つ世界を作ってしまえば元の世界は確実に崩壊する。そうすればもう元の世界には戻れないし、記憶だけが一部の人間に残る。1回崩壊が始まってしまえばもう誰にも止められない。崩壊は勢いを増して、いずれは...何も残らないだろう。それを止められるのは...お前らしかいないんだ。」
涼介「俺らしか、居ない...」
俺らしかいない、その言葉だけが頭の中をぐるぐる回る
「そうだ、もう誰も死なせたくないんだ...!」
ぽろっ...
流れる涙がひんやりと冷たい
ここ、痛いとか冷たいとか感じるんだな...
ぼけっとした頭で再度考える
...重い、あまりにも重すぎる
全世界の人の命を俺たちで救えって?
そんなの...
ふと、ふと時になった
なぜ俺なんだ?
なぜこいつは俺に頼んだ
どうしてそこまで知っているんだ?
こいつは前に、誰にもなれると言った
こいつは...
涼介「...お前は、だれだ...?」
そいつはゆっくりとこっちを振り向く
相変わらず顔は見えない
そいつは言った
「...神様、かな?」
ブワァァッ!
また突然風が吹いて、重くなるまぶたに逆らわず、俺は目を瞑っていく
...これで、終わりなんだ
何も聞けなかったな...
「〜〜〜〜!」
霞む視界で最後にそいつが泣きながら優しく微笑んだ気がした
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作者名:有谷 彩涼 | 作成日時:2019年12月4日 9時