《ユメ》の存在 ページ50
涼介side
涼介「引きずり込まれた...？」
「そう。まぁ正確に言えば本人の意思でそうなったのかもしれない。彩海がいた世界の時間が彩海が落ちる瞬間に止まったんだ。そして彩海の意識だけが彩海自身の夢の中にいった。彩海はそこで自分のせいで山田や有岡が死んだことを知ったんだ。そこで彩海にある力が与えられた。」
涼介「力...？もしかしてそれって...」
「...そう。それこそが今回全てを狂わせた元凶。時間を操る力。」
涼介「で、でも待て。それができるなら時間を戻せばいい話なんじゃないのか？」
「そうなるはず...だったんだけど...」
涼介「けど？」
「...はぁ、それが出来なかったんだよ。やり方が間違っていたのか、原因は分からないけど。それでもうひとつ世界を作ってしまった。でもそこでも誰かが死ぬ。また作る、死ぬ。その繰り返しだった。結局彩海という人物は一人しかいないのに山田涼介という人物は複数いることになった。今はこの世界以外は時間は止まってる。彩海は...今後どう落とし前をつけるのかは分からないけど。選ぶ道はきっとひとつだ。それは...
,
死だよ。」
涼介「っ...しん、だらどうなるんだ...？」
「死んだら世界が全部残ったまま、つまりこの世界が一生動き続ける。彩海と言う人物が知られていないまま。」
涼介「...でも今俺は彩海という人物を知ってるんだぞ？」
「...いいか、問題はここからなんだ。なんというか...言いにくいんだけど...」
涼介「？なんだよ。早く言えって。」
「あー...うん、実はお前も彩海と同じような力を持ってるんだ。」
涼介「...へ？！」
「持ってるっつーか、なんというか...今まで通りのシナリオはこうだ。お前らは何も思い出さないまま、まず彩海が死ぬ。お前らは彩海がいた時の...つまり別の世界での記憶が1部だけ戻る。それが知らぬ間に《前世》の記憶としてお前らの頭の中で定着し彩海を探すが、もう彩海は死んだということを知る。そこで悲しみにくれたお前は夢の中で彩海と同じような力を授かるんだ。そしてお前も時間を戻そうとする。が、彩海と同じようになり、彩海が繰り返してきた世界そのものをもう一度繰り返してしまう。だから簡単に言えば同じところをぐるぐるループしてるんだよ。その度に記憶は無くなっていく。」
涼介「え...じゃあ俺のせいじゃん...俺が...」
「それは違う。違うんだ。まだ、まだ続きがある。」
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作者名：有谷 彩涼 | 作成日時：2019年6月21日 20時
