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山田side
涼介「...なぁ雄也。」
雄也「んー？」
涼介「...これどこ向かってんの？」
結構遠い所まで来た気もするけど、雄也が運転する車は止まりそうもない
なんにも考えず俺と大ちゃんは取り敢えず探しに行こうとか言ってたから、迷いのない運転に少しばかり安心しているけど...
雄也「有岡くんから夢の話は聞いてたからね。可能性がありそうな所に行こうと思って。」
涼介「じゃあもしかしたら俺が知ってるところかもしれないってこと？」
雄也「んー...まぁそーなるなー。まだわかんないけど。」
横顔からは雄也の心境を伺えそうもないが、その言葉には何かが隠されている気がする
涼介「ふーん...」
ふと後ろが少し静かになったなと思って見てみると大半が寝ていた
慧「有岡が寝てるー。」
薮「あ、光のやつも寝てやがるぞ。」
慧「でもさ、知念が有岡にもたれかかってるとこ見ると、有岡も兄貴なんだなーっておもうよね。」
あーあ、また車内が騒がしくなってきたなぁ...と思ったら音がピタリと止まって、静かになった
再び後ろを振り向くとみんな眠っていて、その寝顔には約30歳の男たちとは思えないあどけなさが残ってる
雄也向かって首を振ると、雄也は呆れたように笑った
涼介「...俺も寝ようかな(笑)」
雄也「えー？暇なら俺の相手してー。てか運転変わってくんなーい？(笑)」
涼介「むーり。みんな寝てるし。てかだいたい俺道知らねぇよ(笑)」
雄也「うそうそ(笑)じゃあちょっとだけでいいから...そのあとは寝るなりなんなりすきにしてくれていいからちょっと話しねぇ？」
涼介「...いーけど。」
雄也に背を向け、わざと不貞腐れたようにそう言うと、雄也はクスッと笑った
雄也「お前はさ、努力家じゃん。家族思いだし友達も仲間も大事にする。それってすげーいいとこだと思う。」
涼介「え、あ、ありがとう...」
雄也「けど悪いところでもある。」
涼介「...」
雄也「お前は他人の傷を自分の事のように捉えすぎてるんだよ。大事なことかもしれない、それでも行き過ぎるとそれは凶器になって自分の心に刺さってく。だから...」
辛くなったらちゃんと言えよ？
雄也の言葉にぽろぽろと涙を流している俺は今までどれだけの人に気を遣わせてきたんだろう
そんなことにも気づかない俺は馬鹿だ
涼介「っ...ｸﾞｽｯ」
雄也「ん...」
そして、そんな俺の頭を撫でてくれる雄也はもっと馬鹿だ
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作者名：有谷 彩涼 | 作成日時：2019年6月21日 20時
