【wrwrd】軍人さんを拾いました 2【shp】

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先に行っていた鬱さんとゾムが大きな箱のような乗り物を引いた馬を連れてきた。
馬車だ。
アンナの街で何度か見かけたことがあるが、乗るのは初めてだ。




【この箱に乗ったらもう戻れなくなってしまう】




そんな考えが脳裏をよぎり、恐怖に支配された。
体が小刻みに震えるのを必死に抑える。


ゾムとショッピくんが乗り込む





今、今なら




今戻ればまだ、間に合う
引き返せる。ここからなら森はすぐだ
いくら街が歩けない私とはいえ来た道をまっすぐ戻るくらいならできる。

でももし、この箱に乗り込んでしまったら、もう自力では帰れない。

1人で街も歩けない私が森からもう1つ離れた街に行って帰って来れるはずがない。






引き返そう。



そう思ったその時。









ut「どうしたん？」








いつの間に後ろに立っていたのか。
両肩を掴まれ、耳もとで問われる。
体が石のように動かなくなり、心臓が縮むような感覚を覚える。



おそらく、私が逃げないように後ろで待機していたのだ



ut「体、震えてんで？寒いならはよ中入り？」


ぐっと肩を押され、反射的に抵抗してしまう


ut「乗らなウチの国までは行けんよ。
あんまりイヤイヤ言わんといてや、、
いい加減もう諦めーや。な？Aちゃん。」


私の肩越しに顔を覗き込む鬱さんの表情は笑顔だが、それがまた恐ろしくてたまらない。
両肩を掴む力が強くなっていって、あまりの怖さに首を縦に振るしかなかった。


ut「ん、ええ子。」


そう言って強く掴んでいた肩を優しく抱くと、馬車へ乗るよう促した。


抵抗できなくなり、恐怖心はさらに増していた。


1歩、箱の中に入り座席につく。
その後に続いて鬱さんが入り、私の隣に腰掛けて、ドアの扉を閉め、鍵をかけた。

そこで気づく。
鬱さんのところにしか出口がついていないことに。
あぁ…彼が私の後に入ったのは私がドアを開けて逃げないようにするためでもあったのか。



増した恐怖心が溢れないように自分で自分の手を握り、息を深く吸う。
目を強く瞑って、とにかく落ち着こうとした。


その行動に気づいたのか、鬱さんが声をかけてくる。

ut「到着までしばらくかかるから、寝ててええんやで。」

『…………。』

ま、寝れるような気分じゃないかもやけどな
と小声で続ける。



確かにその通りだが、起きていても落ち着かない。いや、むしろ不安が増していく気がした。





なるべく何も考えたくなくて、気絶するように意識を手放した。

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