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zm「A?」
ゾムの声でハッと呼吸を思い出す。
zm「……A顔色悪いで?大丈夫??」
『へっ?』
zm「真っ白やで。俺が言うのもなんだけど、怪我したんやからもうちょい休んどいた方がええよ。」
そう言って私に布団をかけてくるゾム。
こんなに暗いのによく顔色なんて見えるな。
どうやら彼は良く目がきくみたいだ。
『ゾムも寝た方がいいわ。床で寝て体も疲れてるでしょう。それにゾムだって怪我もしてるんだから。私はもう大丈夫だから上の部屋に…』
zm「俺もここで寝るわ」
『え゛』
zm「え、あかん?」
『いえ、あかんじゃないわよ』
zm「あかんじゃないってなんやねん笑」
ヒヒヒと特徴的な高い声で笑うゾム。
あまりにも邪悪な笑い方につられてしまう。
『ゾム笑い声高いのね笑、ふふふっ』
zm「そんな?……A笑ってた方がエエで」
『え?なに?』
「なんもない!……笑ってんと、はよ寝よか」
ゆっくりとゾムに体を寝かされる。
ゾムもフードを外して横に転がった。
意外と長い髪。
『ねぇ、狭くない?やっぱり上の部屋で寝たら??』
zm「それでも別にいいんやけど。」
「1人だけ1階で寝るなんて、寂しいやろ?」
「だって俺、山に住んでた時、寂しかったもん。1人で寝んの。」
「だから分かんねん。寂しくないって意地張んのも。本当は寂しいのも。」
寂しくなんかない、と言おうとする。
いや、寂しくないと言わなきゃいけないし、そう思ってなきゃいけない。
じゃないと、辛いから。
「ほら、寂しいって言うてみ?A」
でも、ゾムに隠しても無駄なのかもしれない。
ゾムは私に似てるから。言っても大丈夫かもしれない。
困らせないかもしれない。
声に出してもいいのかもしれない。
『うん、寂しい。』
言葉にした途端、涙が止まらなかった。
何十年間も押し殺していた感情が一気に溢れる。
ただ、涙が止まらなかった。
ゾムは「分かるで、寂しかったなぁ…」
といって優しく抱き寄せてくれた。
細い指で私の髪を梳く。
母さんみたい…
男の彼には失礼かもしれないが、
ゾムの黄緑目で肩まで伸びた茶髪の姿は
涙目で見ると、母さんの緑の目と肩までの茶髪の姿と重なる。
心地の良い懐かしさにゆっくりと目を閉じた。
最近こんな眠りの付き方ばかりしている。
明日彼らは帰国するのだ。
1人での眠り方をまた、思い出さなくちゃ
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暁郗 - え?駄作とは??え??神作の間違いでは???? (2020年11月19日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とってもええお話やん(_><_) 続き楽しみしとこ♪ 応援してます!これからも頑張え!!!! (2020年10月1日 16時) (レス) id: 565863c7d8 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - 椋。-ryou-さん» コメントありがとうございます!!泣いて欲しい話として書いたので、とても嬉しいです。これ以上の褒め言葉はありません…!!更新頑張ります! (2020年9月12日 23時) (レス) id: 294441511f (このIDを非表示/違反報告)
椋。-ryou-(プロフ) - ものすごく感動しています。特に「悲恋哀歌」は何度見ても涙が出ます。更新大変かもしれませんが、これからも応援しています。 (2020年9月12日 13時) (レス) id: 8b6ca01e67 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - ソノさん» 頑張ります〜!!コメントありがとうございます!!続編も誠心誠意執筆していきますのでぜひ...!! (2020年9月7日 21時) (レス) id: 294441511f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リズ | 作成日時:2020年8月9日 12時