第68話 ページ21
乙女side
双子の片割れが、花を飛ばしながら帰ってきた。
「聞いてくれよ〜！」
緩みきった晒しのない笑みを浮かべスキップをしながらリビングに入ってくるものだから、思わず近くにあったクッションを投げつけてやった。
気色悪い顔面にぶつかったんだけど、ぶつけられてなお笑みを崩さないAに鳥肌が立って仕方ない。
普段ならここで何かしら技を仕掛けてきてもおかしくないのに、ヘラヘラ笑って立っているAは相当機嫌がいいようだ。
今ならきっと、財布から金を盗み取っても笑って許してくれるだろう。
「桜乃ちゃんが可愛いのなんの！」
「へぇ〜。今日は嫌われなかったの？」
そう私が口にすると、Aは鼻高々に「でこチューしても泣かれなかった」とキメ顔を浮かべていた。
「付き合ってる彼女にでこチューで泣かれてたら別れる案件でしょうよ。そんなの泣かれなくて当たり前だわ」
「え、そうなの？」
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「最近Aが素っ気ないんだけどさ、乙女ちゃん何か知ってる？」
昼休み、教室で私を中心に集まる集団の中に、笑みを浮かべた男はやって来た。
Aと並ぶ程の容姿を兼ね備えつつ品行方正と言われているその男は、平気で何股もしている屑野郎。腕っ節はそれなりに自信があるからか、それとも人脈があるからか、校内で唯一Aに話しかけるイカれ野郎。
なんか主人公みたいな奇抜な名前の男は、鳴り止まないスマホを片手に、私を見つめ笑っていた。
「さぁ？飽きられたんじゃない？」
「この俺を？それはないな。多分最近気に入ってる子の所為だと思うんだ。ねぇ乙女ちゃんは知ってる？」
優等生ぶった容姿の男は、隣にいた女子を引き寄せながら私を見下ろす様に言う。
私はこの男が好きではない。
Aはどう思っているか分からないが、私ともAとも違う方向にイカれているこの男は気に入らない。
同族嫌悪って、やつ。
「うわぁ、その目ゾクゾクする。好みじゃないけど乙女ちゃんのこと好きになっちゃいそう」
睨み上げれば、笑みを崩さずそう口にする。
「それで、サクノちゃんってどんな子？やっぱりA好みの……」
ガンッ_____ ！
目の前の机を勢い良く蹴り上げれば、先程まで騒がしかった教室内が静まり返る。
「その名前を言うんじゃねぇよ。穢れんだろ」
「双子って同じ事言うね」
妖しく笑う男に、私は勢い良く手を伸ばした。
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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (
レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか？ (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！ (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ | 作成日時：2020年9月4日 12時
