【BL】君だって【wrwrd】

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tn side

ウィーンとこの短期間で聞き慣れた音

今日もまた図書館に来ていた

そうそう、確かエミさんが役を買われて司書になったんやって


はぇー凄いわ

なんて考えながらカウンターを通り過ぎようとしたその時

トントンさん

と声がした


tn「どうしたん？エミさん」

em「あ、突然呼び止めてしまってすいません。」

tn「ええんやで。で、要件は？」


またキツイ言葉になってしまった

あぁ、少し傷ついている彼の薄い瞳を見ているとなんだか憂鬱になるな

ごめんな。と心の中で反省をする

いつだってそうだった


em「あの、『2月の鯨』っていう本知ってますか？」

tn「2月の鯨？知らんけど」

em「そうですか。なら読んでみてください」


鯨なんて普段考えも想像もしない

2月の鯨ねぇ……


tn「分かった。何処にあるん？」

em「Iの945です。」

りょーかいなんて気の抜けきった言葉を返し、例の2月の鯨とかいう本を取りに行く


鯨って鯱より弱いんやろ？

あんな図体でかいくせに


くそ、またこんな卑屈な事しか考えつかない

ほんと、ただのクズだと思う


こんなやつを大切にしろって言う方がおかしい


ほら、また人のせいにする


主観的に考えるな

客観的に考えろ

あぁ、もういらいらする

こうなったのもエミさんのせいだ


また

学ぶってことが出来ひんのか俺は

バカやん

エミさん関係ないやん

あの人は自分に任された仕事をどんなに辛くとも頑張っとうやろ


もやもやした感情のまま『2月の鯨』を、手に取る


鯨は弱い

あくまでも僕が思っとること


そんな鯨と僕が重なって見えて


グッと強く本を握りしめた

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