【BL】君だって【wrwrd】

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tn side


em「トントンさん？」

tn「え？あ、ごめん」

em「大丈夫ですよ。ではその本読んでみてください。とても考えさせられると思いますよ。」

tn「分かった。読み終わったらまた来るな」


エミさんのはいという声を聞いて少し落ち着いた

思わず本を握り潰してしまったがまぁ大丈夫だろう

皺にもなってないし


あれ？シッマやんと思い辺りを見回すと

シッマの隣で目をきらきらさせている好きな人が

なんでやねん

なんで俺にはその顔せんのや

なんでシッマにはするねん



俺を見てや

胸の奥がずきずきする

まるで鋭利なものを突き立てた時のように


その現状が痛くて辛くて

思わず現実から目を逸らしてしまった


『とても考えさせられると思いますよ。』


エミさんの言葉がふと頭をよぎった

とにかく今は落ち着きたい

この本を読もう

これで現実を忘れよう

グルさんのこと

勉強のこと

親父のこと

母親のこと


全てから目を逸らそう


兎に角その一心でページを捲る


思えばエミさんはこの本を故意に俺に読ませたんやと思う。

この本の内容はこうだ

2月の鯨
それは1番活動が活発になる。
住処を移動する為に郡になって移動を行う。
通信手段はお互いの超音波。
51Hzの鯨たちが悠々と泳いでいく。
だが、そこには52Hzの鯨が1匹いたのだ。
超音波の音が違うためほかの鯨と交わることが出来ないのだ。
その鯨は生涯孤独にいきていくのである。


大体こんな感じ

なんでエミさんがこの本を読ませたのかは分からない

だが、ひしひしと伝わってくるそれは幾度となく俺をえぐり取ろうとしてくる

成程

確かに考えさせられるな


でも今の俺には考えるよりも焦りの方が勝ってしまって


ばくばくと主張し続けるこれを押さえつけるしかない


この52Hzの鯨と今の俺は同じなのでは？


そんな疑問が頭の中をぐるぐる回る


あぁ、どうかこんな俺を嫌わないでくれ

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