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彼女には向かない職業>>3 ページ5

「私を(わら)いに来たのですか」
「警戒を(うなが)しに来ただけだ。私が貴方の立場なら、暗殺者が枕元に来る前に、身の振り方を考え直す。命を狙うのは上ばかりとは限らぬしな。()()(ちょっ)(かつ)の遊撃隊である芥川君と貴女は、我ら武闘派組を(じか)に動かす権限が有る。いわば上司だ。だが、我らを(かしず)かせるのは権限ではない。芥川君の持つ力の()()(すう)(けい)だ。樋口君。芥川君の動けぬ今、貴女に我らが従いたいと思わせる何かが有るか?」






樋口は今、静かに眠っている芥川の側にいた。
そっ…と手を握ろうとする。


《お前の扶けなど要らぬ》


その言葉を思い出し、樋口はその手を引っ込めた。






これは芥川が敵対者を滅する仕事の話。
コツコツと靴をならし、芥川はビルから出てきた。
芥川の外套や顔には、敵の返り血であろうものが付着している。

「芥川先輩!」

ダッと樋口が芥川の側に駆け寄った。
が、芥川はそれを無視する。

「幾ら先輩でも、自。殺行為です!敵対者を滅する為とはいえ、警備員が詰める屋舎に、正面から乗り込むなど……。しかも我々部下への援護指示もなく!」

無視する芥川を追いかけていた樋口に、芥川はパシッと樋口の手を叩いた。

「五月蝿い」
「しかし!」
「お前に何が判る」

その目は今にも殺されそうな目だった。
ドォッと先刻潰した敵対者のビルが爆発し、小さなビルの破片がパラパラッとふってくる。

「……狼煙(のろし)だ。この街の何処からでも見える狼煙。僕の力を認めぬまま、触れも断りも無く消えた、()の人の目に、否応なく届く太い狼煙」

彼とは、たぶん芥川の元上司であった太宰の事を云っているのであろう。

「ですが、先輩を扶けるのが私の仕事です!」

そんな事を云うと、芥川は樋口を見下ろしこう云った。

「お前扶けなど要らぬ。誰の扶けも」

その言葉が、樋口の心にずっしりと重みをかけた。

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設定タグ:少々カゲプロ , 男主 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:アニメ
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菓海手(プロフ) - 皆、コメントちゃんとみてね!!!! (2016年6月20日 20時) (レス) id: bf2b99e4e9 (このIDを非表示/違反報告)
菓海手(プロフ) - キーワードの『少々カゲプロ』をおして、続編である『蛇を操る少年(仮)は、探偵社のなかで最年長……らしい。【文豪ストレイドッグス・男主・マンガ沿い。4】』をご覧ください。 (2016年6月19日 14時) (レス) id: bf2b99e4e9 (このIDを非表示/違反報告)
菓海手(プロフ) - 実は、この小説をつくったアカウントが無くなりまして、しかもパスワードも忘れてしまい新しいアカウントを作ったので、続編として4をつくりました。 (2016年6月19日 14時) (レス) id: bf2b99e4e9 (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 面白いですね、更新頑張ってください。応援してます!! (2016年6月1日 1時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
シロ - あの一中の生徒ですか? (2016年5月29日 10時) (レス) id: 7ac5ab82e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菓海手 | 作成日時:2016年5月28日 22時

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