目指せあの頂上へ (ページ37)

今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:9,245 hit

第35話ページ37

Aside

後ろにはシグ。

正面には私たちもいる。

もうこのまま先生はなす術もないだろう！

と、思っていたのも束の間だった。

先生「……まあ、ここで簡単にやられるようでは先生も勤められんしな。」

先生はそういった瞬間、シグの足元を、私にしたように崩した。

シグ「う、わっ！？」

魔道書が宙を舞い、先生がそれを引き寄せた。

先生「さあ、シグ。このように敵に魔道書を奪われるなんて思ってもみなかっただろう？」

シグ「……！」

本当にまさかだった。
シグはきっとその強さ故に、きっと誰にも負けたことが無い。

それが仇になったのだ。

レン「シグ！！」

レンがシグを救おうと、先生を水の弾丸で攻撃した。

後に聞くと、これは銃弾と同じぐらい威力があるとのことだったが……

先生「お前は焦った時、隙が出来すぎだ。」

先生は即座にレンの背後にまわった。
レンはそれに対応出来ず、背後からパンチをくらった。

レン「……ぐっ……」

レンはその場に蹲る。
その瞬間、私はゾッとした。

あんな一瞬で……！！
なんで、どうやって移動したの！？

先生「……Aは、考えてることが筒抜けだな。

氷というのは、案外便利なものでな。
地面を凍らせれば、スケートリンクのように滑ることができる訳だ。」

先生は私の疑問を見抜き、そして答えた。
こんな時まで先生やってくれるのはありがたいけど。

……でも私はこの時、そう思える余裕が無かった。

『あーあ。また行動できない。意気地無しめ。』
『仲間が倒されてもなす術なし。』

『何も出来ない、落ちこぼれが。』

脳内で響く誰かの声。

やめて、そんなこと、言わないで。

そこで私は、意識が途切れた。