二 ページ2
『っ、!!』
記憶が途切れたところで飛び起きる。
背中が汗でびっしょりと濡れていて気持ちが悪い。
まただ。またこの夢だ。小さい頃から何度も何度も見た、俺にはひとつも心当たりのない、そのくせ実体験のように妙に現実味を帯びた夢。
『…いやぁ、俺やっぱりこの夢一生見続けそう、』
大学生になれば少しでも回数が減るだろうと思っていた俺が馬鹿だった。1年の頃はそれほどでもなかったが2年になってから格段に回数が増えている。
とりあえずこの気持ち悪い汗をどうにかせねば、とクローゼットを漁り適当に手に取った着替えとバスタオルを持って風呂場に直行する。
汗で重くなった服を脱ぎながらふと数日前に見たテレビ番組の内容を思い出した。あれは…確か日露戦争の特集だったか。よくもこんなむごい事ができるもんだな、と思って見ていた。
がしかし、何故か少しだけ懐かしい感じがして困惑したのを覚えている。
『あー…気持ちいい』
寝起きにちょうどいい温度のシャワーを浴びながらさっきまで見ていた夢のことを初めて整理しようと思った。
いつもはこの夢は見た、という漠然とした事実しか残っていないくせに、今回はかなり記憶にくっきりと残っていたからだ。
俺が夢の中でよく呼んでいた『杉元』という名前にはてんで心当たりがない。そして最期に呟いた『白石』と『アシㇼパ』という名前にも同じく心当たりはない。
まず、どうして俺があんなところで戦っていたのか。俺は特段武闘派とか言う訳でもない。そこら辺にいるただの一般的な大学生だ。
ぐるぐると考えているうち、おそらく敵であろう集団が着ていた服。あれはつい先日見たテレビ番組に映っていた明治陸軍の軍服ではないだろうか?と気づいた。はっきりとは覚えていないものの、色合いは紺色と黄色で同じだったと思う。
どうして明治陸軍の軍服を着た人達に襲われていたんだ?これまでそういう資料館に行ったこともなければ実際に見たこともない俺には見当もつかない。
そんなことを考えていると風呂場の外からスマホのアラームが鳴った。この音は家を出発する時間の10分前のアラーム。
『えっ俺どんだけシャワー浴びてたんだよ!?』
と内心びっくりしながら急いで風呂場から出て着替えて準備をする。朝飯…なんて食ってる時間はない。どこか途中のコンビニでおにぎりでも買おう。すぐにリビングに戻って出しっぱなしだったルーズリーフやらパソコンやらをリュックの中に突っ込んで家を出た。
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ロア - 好きです!面白くて最高です! (9月20日 21時) (レス) @page2 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔夜 | 作成日時:2023年2月11日 0時