橙色の真相 三 ページ10
「それ……」
赤松さんが取り出したのは、橙色の烏のキーホルダー。咲良さんに会った夜、桜の木の下で拾ったものだ。
「俺の、です。……どこにあったんですか」
「中学校の校庭にある桜の木の下に落ちてたよ」「……」
桜、という言葉に、大木くんの表情が僅かに曇った。「……すみません」と目を伏せて呟く。
「それ、大事なものなんです。……返して、貰えませんか」
「もちろん返してあげるよ。ただ、一つ聞きたい事があるんだけど、良いかな？」
微かに身構えるような素振りを見せる大木くん。薄々気づいていたのだろう、赤松さんが、例の件で大木くんに声をかけたのだと。
「桜の下の幽霊の話。あれって……」
「……す、すみません……俺、あんな事するつもりじゃなくて」
赤松さんが訊ねるより先に、大木くんは頭を下げた。
「あぁするしかなかったっていうか……あの後、お婆ちゃんから塩は幽霊に効くんだって話を聞いて、凄く後悔したんです。女の人の幽霊には、本当に悪い事したって」
「何であんな事したの？」
「それは……その、断れなくて。……俺が」
一旦そこで言葉を切り、大木くんは息を吐いて、思い切ったように言った。
「クラスメイトに、そのキーホルダーを盗られたんです。返して欲しかったら噂を試すんだって、命令されたんですけど……」
結局、返して貰えなくて、と大木くんはため息をついた。
「あの……それって、いじめなんじゃ……？」
「いや……そんな重い話じゃないですよ。ただ、よく絡みに来る奴らがいて」
要するに、大木くんは何も悪くないらしい。そんな事をさせる子達がいるんだ、と私は少し不快に思った。
「そっか……これ、返しておくよ。とりあえず、ちょっとここで待ってて」
「えっ、あ、ありがとうございます……」
立ち上がった赤松さんから、キーホルダーを大事そうに受け取る大木くんに、私はふと訊いた。
「そのキーホルダー、速水くんとお揃いだよね」「え、あぁ、そうなんです。初詣で買った三本足の烏の……あれ……？」
足は、二本しかなかった。
「折られた……のかな。……いや、大丈夫です。どうせあいつらの事だから、雑に扱って取れちゃったんですよ」
「そ、それ、大事なものなのに良いの……？」「……良いですよ。また同じ神社に行くでしょうし、その時に買います。……あ、その時は、先輩も一緒に行きませんか……？」
言った後で大木くんは「あ……すいません、厚かましいですよね」と慌てて付け足す。
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くろーさぎ(プロフ) - 造山監督帯( ⊇･ω･⊇)~ｷﾉｺ~ﾉｺﾉｺ~さん» コメントありがとうございます！(≧∇≦) (2019年8月21日 7時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
造山監督帯( ⊇･ω･⊇)~ｷﾉｺ~ﾉｺﾉｺ~ - ((((；ﾟДﾟ))))))) (2019年8月21日 1時) (レス) id: e5491ec8cb (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - サルンラップさん» コメントありがとうございます！！咲良ちゃんは個人的にお気に入りですww閲覧ありがとうございました！！ (2019年7月29日 18時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
サルンラップ - すごい面白いです！咲良ちゃんなんか好きだなあw更新頑張ってください！ (2019年7月29日 18時) (レス) id: 306dfa2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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